「見守る」ってなに?-2 カウンセリングの現場から

見守りましょう」カウンセリングの現場で働いていると、とてもよく耳にする言葉。「見守る」という事に悩んだり、「見守るって、いったい何なんだ」と、疑問に思っている方も沢山おられる。

「見守る」という事を考える時、私には思い出す一つの出来事がある。ず—-っと昔に見たテレビの特集番組。

障害を持つ子供が着替えている。とても不器用で、なかなかうまく着替えられない。見ているのももどかしい。じれったい。イライラする。よく見ると、その子どもの後ろに大人の足が見える。子どもの後ろを行ったり来たり。近づいたり離れたり。時には立ち止まりながら、何度も何度も往復する2本の足。

この足こそが、「見守る」という事ではないかと思う。

着替えるのを手伝う事は簡単で、そうすればすぐに解決する。しかし手は出さない。子どもが自分で出来るまで、辛抱強く待っている。全身全霊で子どもを見ている。「あー、この子は、守られているんだな」と感じた。

子どもと一緒になって傷つき喜びながら、試行錯誤を繰り返し、親もまた成長して行くんだなと思う。

(2008年2月)

2008.02.01  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》スタッフS

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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