小学生の不登校の子にとって、気になる事は「再登校」「勉強の遅れ」「友だち」だけとは限りません。意外と家庭の中にも気になる事があるのです。その一つが「弟・妹」たちです。
特に弟や妹が小さい場合(0才~幼稚園)、どうしても母親の目は下の子に向いてしまいがちになります。自分を構ってもらおうとすると「お兄ちゃんなんだから・お姉ちゃんなんだから我慢して」と取り合ってもらえない事もしばしば。そうなってくると、もはや弟や妹は「身内・家族」ではなく、母親争奪戦の「敵」になってしまうのです。【※カウンセリングの経験上、弟や妹をいじめるのは「男の子」の方が多い傾向にあります】
上の子は不登校。本来なら学校に行っているはずの朝や昼から兄弟喧嘩が絶えなかったり、一方的に弟や妹をいじめる・あれこれ命令する・テレビを独占するなど、ヘトヘトになって不登校の相談にこられる親御さんが以前よりも増えています。
親御さんの日常的な関わり方を教えていただき、不登校の子の性格が分析できれば、対応のアドバイスによって十分に解決可能です。この場合のカウンセリングは「何をやってもダメだから親として自信がなくなった」「親も限界に近づいてきているので何とか助けてほしい」と、一見すると「母親のカウンセリング」のような形からスタートします。しかし、子どもさんが落ち着いてくると、お母さんも次第に不登校の子の再登校のことを考える余裕(気持ち)が生まれてきます。実際のところ、「母親のカウンセリング」も「子どもの不登校のカウンセリング」も対応の基本は同じ。次は、それまでにつかまれた対応のコツを子どもさんの不登校・再登校に応用するだけなのです。
2015.07.09 著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
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