【小学生の不登校】二学期の終わりに再登校できた子への親の期待
なかなか再登校ができなかった子でも、小学生の場合、二学期の後半、特に12月になると随分と授業内容が緩やかになるようです。
面談・懇談のある一週間は午前中だけの授業。それに、担任の先生の配慮によっては、「お楽しみ会」や「クリスマス会」などの、比較的ゆるやかなイベントを時間割に組み込んで下さることもあります。終業式間際の12月23日には祝日もあり、12月中旬から終業式にかけては、「長時間の授業を受けるのが負担」という不登校の子にとっては、一気にハードルが下がります。
12月からは普通に再登校できたとまではいわないものの、上記のようなイベントや午前中だけの授業だけには登校できるという子は少なくありません。もちろん、その前提には担任の先生やクラスメートの積極的な声かけや働きかけがあってのことです。もちろん、まだ完全登校ではないものの、親御さんにとっては「久しぶりに登校してくれた!」「2学期の終わりには3日も登校できた!」と、少しでも登校できた喜びは強そうです。
しかし、ここで注意すべき点が!。親御さんの考えの中に「二学期の後半で行け始めたんだから、三学期は『キリ』も良いし、もっと登校しやすくなるのではないか」、という期待が強くなってしまうことです。
実際、三学期が始まるといかに小学校といえども二学期の終わりと同じように「ゆっくり」とはいえないようです。始業式の翌日からは給食も始まり、通常授業もすぐに始まってしまうのです。ここで、親御さんが「二学期の再登校を弾みに」と「行け行けオーラ」を出してしまうと、せっかく盛り上がった再登校ムードにかげりがさしてしまうハメに・・。
二学期の後半に再登校できたのは事実です。そう考えると、子どもさんはもはや、登校する気のない子ではないのです。そして、「何かのきっかけや条件が整えば再登校できるのでは?」という視点で不登校のカウンセリングをすすめていただいた方が解決しやすいのは間違いありません。少なくとも、少し前には「学校」という場に足を運び、クラスメートや担任の先生と時間を共にしたわけです。登校したときの記憶は比較的新鮮に残っているものです。この時の話題をテコにカウンセリングを進めていくのも当センターの特徴の一つです。
2015.01.18 著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
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