【不登校】小学生の家庭内暴力

小学生の家庭内暴力は中学生以上の子の暴力に比べると、暴れる程度はまだマシな子が多いでしょう。もちろん、中には親を叩いて青あざができたり、壁を蹴って穴をあけたり、リモコンを投げつけて壊したりと、被害が大きいこともあるようですが、カウンセリング中にお話を聞いていると、暴力をふるったり暴れたりするよりも、日頃から「八つ当たり」してきたり、親に「暴言」を吐いている割合の方が断然多いようことがわかります。この場合、日頃の「八つ当たり」や「暴言」の方に注目して上手に対応することで、大きく荒れることを防げる場合が多いものです。

小学生といえども中学年・高学年は思春期の入り口という多感な時期ですし、ましてや、低学年の子ならば自分の思いをうまく表現できないことで八つ当たりや暴言になってしまっている子もいます。小学生のカウンセリングにあたる場合は、子どもさんの学年も解決の大きな手がかりになります。

不登校や家庭内暴力のカウンセリングでは、他にも親子の日頃の何気ない会話や親子の関係にも注目します。「好きな話題ならばよくしゃべる子」なのか、「母と二人っきりの時に荒れやすい」のか、「寝る時には別人のように甘えてくる」のか、会話の種類やその場にいる家族の人数などによっても子どもの見せる顔が違ってくるのです。

また、家庭では暴力をふるったり暴言三昧の子でも、外部の人や(登校している子なら)学校では「おとなしい子」だと思われていたり、担任の先生に家庭での様子を訴えても「学校ではふつうにしてますよー」という場合がほとんどのようです。いわゆる「外面(そとづら)と内面(うちづら)が違う」子が多いのです。

淀屋橋心理療法センターでは、家庭内暴力は「いろんな人間関係や状況(環境)・それぞれの性格などが複雑にかかわり合って生み出された結果」だと考えます。そのため、家庭内暴力の子のカウンセリングを進める上では、「暴力をふるう子どもが原因」とか「親の対応が原因」といった一面的な見方をしませんし、誰が原因かといった「犯人探し」もしません。あくまで色々な情報をかき集めて、いつ・どんな状況で・どんな流れで家庭内暴力が起こっているかなどを客観的に論理的に分析し、家庭内暴力解決へのアドバイスを導きだしていきます。

2014.01.21  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

シリーズ記事

2014.01.21

1.【不登校】小学生の家庭内暴力

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