お母さん、今のうちに何かしませんか

お母さん、今のうちに何かしませんか~不登校

『はたして新学年から、うちの子登校できるのかしら』

三学期も2月半ばとなりました。来週から学期末テストが始まります。それが終わると実質的には春休みに入ります。今は学校へ行けてないけど、新学期から登校可能にする方法はないものでしょうか。中学一年の二学期から不登校になってしまった正雄君のお母さんの相談に耳を傾けながら、当センターで、みごと再登校を可能にできた事例をまじえてお話しましょう。

『新学年から行く』と子は言うけど、不安がいっぱいの母

「学校生活と、いまの家での生活はあまりにもちがいすぎて。でもそのギャップに正雄は気づいているのかしら」。お母さんの不安の一つはここです。「新学年になったら先生もクラスもかわるやろ。そやから僕、行くで」。正雄君はテレビゲームをしながら明るい声でこう言います。

でも正雄君の今の生活をみてみましょう。お昼頃起きてきて、ご飯をたべて、まずテレビゲーム。それからマンガを読んだり、お笑い番組をみたり。お母さんからみると「好きなときに好きなように、一日中ダラダラ過ごしている毎日」と、映ります。お母さんの不安を、一つ一つみていきますと。

  • 学校に行くようになったら、生活はがらりと変わりますよね。はたして毎朝、はよ起きられるやろか。
  • 気に入る友だちばかりとは限りませんでしょ。今は近所の子らと仲良く遊べてるけど。気心の知れた子ばっかりですからね。クラスの中で浮いてしもて、いじめられたりせーへんかな。またそれがきっかけで、学校いかへんようにならへんかしら。
  • 勉強がついていけるかやろか。なにせ毎日家で好きなことして遊んできたのに、いきなり60分という長い授業についていけるやろか。内容もわからへんと思います。すわっとくだけでもしんどーて、ガマンできるやろか。
  • 担任の先生は入れ替わるやろうけど、はたして気が合うかどうか。半年以上も不登校やった正雄を理解してくれはるやろか。それなりの配慮はあるんやろか。
  • 私が一番心配なんは、うちの正雄がはたしてこういう現実をわかって「新学年から学校へ行く」ゆうてるかどうか、ゆうことです。かるーい気もちで、その場かぎり、親を安心させるための言葉やないかと不安でたまりません。

正雄君のような子が、再登校できた事例は多い

お母さんの不安はもっともです。どんなに意気込んでも、登校は続かなければ意味はありませんね。ムリもありません。でもみごと登校にこぎつけられた事例はいくらでもあります。登校を可能にするポイントをまとめてみましょう。

春休みという時間が何よりの味方です。

不登校の子どもは「こだわり気質」の子が多いので、せかされたり、先走られることをとてもきらいます。ゆっくりじっくり、子どものペースに合わせてすすめていけます。この間に親子でできることはたくさんあります。

子どもと雑談を交わせていればだいじょうぶ

テレビ番組、まんが、ゲームなんでもいいのです。親子で話し合えていますか?雑談があれば一月半、集中してカウンセリング治療すれば登校は可能です。

子どもと親にあったアドバイスを具体的に

もちろんこまかなアドバイスはその子ども、両親の特徴をふまえてだしますので、各家庭で異なってきます。むつかしい課題はだしません。今日アドバイスをもらって、今日すぐに実行に移せる課題ばかりです。ただ継続していただく辛抱は多少必要となりますが。

親子の会話を日記のように書き留めて

お母さん、いますぐ生活のなかでの親子の会話を日記に付けて、淀屋橋までおいでください。必ずその日記のなかから、お宅にふさわしい具体的な課題がみつかります。

母と子の登校への認識の差が縮まっていく

課題を一つ一つこなしていただければ、そのプロセスで母と子の登校への認識の差は縮まってきます。もし行き詰まったら、すぐにご相談ください。新たなアドバイスを検討します。一月半、親が必死で取り組むことで、子どもさんの新学年の再登校は可能です。

お母さん一人の来所でだいじょうぶ

「うちの子は、カウンセリングに行かないと思います」と、おっしゃるお母さんは多くおられます。むりやり子どもさんを連れてこなくても、お母さんお一人の来所でもだいじょうぶです。再登校にこぎつけた事例はいくらでもあります。

2019.04.17  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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