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リストカットは子どもからのSOS
リストカット(自傷行為)をするお子さんの多くは、死のうとしてリストカットをしているわけではありません。自殺行為でなく激しい心の痛みや苦しみ、不安やイライラを、一時的に緩和するための行為です。
リストカットなどの自傷行為の多くは、通常、 激しい怒りや不安、緊張、気分の落ち込みと いったつらい感情を緩和するために行われる。 つまり、自傷行為は、自殺以外の目的から、「これくらいであれば死なないだろう」という非 致死性の予測のもとに、致死性の低い手段を 用いて、身体を傷つける行為なのである。
リストカットを悪いことだと決めつけて、無理に止めさせようとするのは困難です。失敗するケースがよくあります。自傷行為の背後にある、お子さんの悲しみや苦しみ、に寄り添ってあげること、お子さんが抱えている問題に目を向けて、解決に導いてあげることがとても大切です。そして、苦しい時に、助けを求められる力を取り戻すことが重要なのです。それと同時に、「辛い時には助けを求めてもいいんだ」という、親との信頼関係構築も、回復の大きなポイントになります。
リストカット(自傷行為)をするお子さんの特徴
一般的にリストカットをするお子さんには次のような特徴があります。
・自分の思いを言葉で表現するのが苦手
・悩みをひとりで抱え込んでしまう
・自分でも知らずの内に無理をしてしまう
・頑張っているのに「自分は頑張れていない」と思っている
これらのように、しっかりしている子や無理して頑張ってしまうお子さんがリストカットをする特徴があります。ただし、ただし、その無理や頑張りが外から見えない場合がよくあります。
お子さんの性格や行動を、下記のチェックリストで一度確認してみることをお勧めします。
リストカット(自傷行為)のチェックリスト
リストカットのチェックリストをご紹介します。
こちらは淀屋橋心理療法センターが、リストカットのお子さんを治療したケースの中から、リストカットの特徴的をチェックリストにしました。親御さんが、日常生活で見つけやすいチェックポイントを集めました。
通常の医学的な診断基準とは異なりますので、現在のお子さんの状態を確認するためのものとして、参考までにご活用ください。
<性格・身体面 >チェックリスト
リストカット(自傷行為)をするお子さんに多い性格や身体面の特徴が9つあります。
現在のお子さんの様子や、性格と照らし合わせてチェックしてみてください。
当てはまる項目が多いほど、お子さんは[生きづらさ]を抱えている可能性があります。
1. 登校する(職場へ行く)のがしんどそうだが、休もうとしない。
2. 元気がない、表情が暗い時がある、目に力を感じない
3. 小さい頃から不平不満を口にしない良い子だった。
4. 学校や職場では「しっかり者」と頼りにされているている。
5. 怒りや悲しみの感情をあまり顔に出さない。
6. 小さいころからあまり親に甘えたことがない。
7. 悩んでいる様子だが、親には悩みを相談してこない
8. 友人から頼み事をされると「いや」と言えず、疲れていても引き受けてしまう。
9. 「学校を休むことは許されない」という考えをしっかりと持っている。
<行動面>チェックリスト
リストカット(自傷行為)をするお子さんに行動面の特徴が9つあります。
現在のお子さんの様子と照らし合わせてみてください。
チェックが多くつく場合、自傷行為をしている可能性が高まります。ご家庭で様子をみながら、医師やカウンセラー、行政など専門機関にご相談ください。
1. 血のついたティッシュがベッドの上や枕元に散らばっている。
2. ごみ箱に血のついたティッシュがつめこんであった。
3. 暑いのに長袖を着て腕を出さないようにしている。
4. 手首のあたりにリストバンドをしている。
5. カミソリやハサミなど、刃物類が自室においてある。
6. 手首や腕にうすい赤い線が数本入っているのを見つけた。
7. 手足をかきむしったり鉛筆で突いたりした後がある。
8. 「○○さんがね、リストカットしたんだって」と言って、親の反応をうかがう。
9. リストカットのブログをインターネットでよく見ている。
関連性のある精神疾患と問題行動
リストカットをするお子さんには、以下のような精神疾患をお持ちの場合や問題行動が見られることがあります。
・境界性パーソナリティー障害
・摂食障害
・うつ病
・統合失調症
・解離性障害
・不登校
・過呼吸
・OD(オーバードーズ)など
どのような場合でも大切なことは、お子さんの心の深い部分にある、不安や孤独と向き合ってあげることが必要です。リストカットを止めることだけにフォーカスするのは、その場しのぎであり、問題の根本的な解決にはなりません。
リストカットに対峙したい時は、お子さんの手首を切られずには居られない不安感や孤独感を把握し、子供の側に立って働きかけることが大切となります。
重症なリストカット <受診・カウンセリング>へ
傷の深さや出血量によっては、自殺行為に近いリストカットもあります。命の危険が伴う場合がありますので、出血が多い、止血できない場合などは、急いで病院を受診してください。
また、特に傷の数が多い、自傷行為の頻度が多い場合には急いでカウンセリングを受けることをおすすめします。
その場合、自傷行為の専門家にカウンセリングをお願いした方がいいでしょう。
命の危険もあるので、臨床経験が豊富で、医療機関とも連携ができるカウンセラーだと安心ですね。
しかし、実際にはお子さんがカウンセリングに行くことを拒むことも少なくありません。
カウンセリングに行くために、親子でしっかり話し合える状態が好ましいのですが、親にも心を閉ざしているお子さんも多いのです。お子さんの同意を得てカウンセリングに連れて行くのは、とても難しいことです。
リストカット治療 <淀屋橋心理療法センター>
自傷行為であるリストカットを治療する方法は主に、
・心療内科・精神科での薬物療法
・カウンセリングによる治療
などがあります。
淀屋橋心理療法センターの所長であり、精神科医の福田俊一は、20年以上前からリストカットの治療に取り組んでいます。リストカットには独特の傾向があることを発見し、独自のカウンセリングを考案してきました。これらに基づいて治療を行い、多くの方を回復へと導いてきました。
淀屋橋心理療法センターのカウンセリングは、お子さんの来所は原則必要ありません。 主に関わりのある親御さん(お母さんなど)に来所していただき、お子さんの性格や行動を分析します。徹底した性格分析を行い、的確な対応をする中で子どもの心が変わっていきます。
オンラインカウンセリング(Zoom、FaceTime、電話など)もあり、日本国内はもちろんのこと海外からのご相談もお受けしています。治療の進め方やカウンセラーとの相性が気になる方は、事前相談(1時間5000円)もチェックしてみてください。
著書「克服できる リストカット症候群」
淀屋橋心理療法センターの所長であり、精神科医の福田俊一が書いた、リストカットに関する本をご紹介します。長年の臨床と分析による、リストカットを克服できるヒントが詰まった一冊です。
タイトル:克服できるリストカット症候群
著者:(淀屋橋心理療法センター) 福田俊一、増井昌美
ーーあらすじーー
「なぜリストカットをしてしまうのだろうか。自らを傷つけるというその異様なエネルギーは、いったいどこから湧いてくるのだろうか。そこに見え隠れするのは、頑張りすぎて疲れ切っているのに、また頑張ってしまうという生きづらさであり、それでも必死で生きている彼女たちの姿だ。家族療法の専門家がリストカットの謎に迫り、本人と家族の苦悩を丁寧にほぐし解決へと導く、4つのストーリー。」
カウンセラー紹介
淀屋橋心理療法センター
所長 福田俊一
精神科医
大阪大学医学部卒。大阪大学精神神経科、大阪府立病院神経科にて精神医療に取り組む。米国フィラデルフィア・チャイルド・ガイダンス・クリニックにて家族療法をS.ミニューチンに師事。住友病院心療内科、大阪厚生年金病院神経科、大阪市立小児保健センター精神科に勤務。厚生省・神経性食思不振症調査研究班メンバー、大阪大学医学部非常勤講師などに従事した経験がある。
▶ 所長 福田俊一からのコメント
お子さんのリストカット、「今晩するのではないか」とびくびくしているお母さん。
リストカットは治らない病気ではありません。ただ、解決できる専門家が少ないのも事実です。一緒に頑張りませんか?
淀屋橋心理療法センター
福田俊介
臨床心理士・公認心理師
オレゴン大学(University of Oregon Bachelor of Science)卒業。兵庫教育大学大学院 学校教育研究科人間発達専攻 臨床心理学コース卒業。
大学卒業後、自動車関連会社に勤務した経験あり。幅広い視点と分析のカウンセリングで不登校、過食症(摂食障害)で高い治療実績を上げている。
▶ 臨床心理士 福田俊介からのコメント
リストカットを克服するには、親御さんに頑張っていただかないといけません。
ただ、「頑張る」にしても解決するためには、的確な方法論が必要です。親御さんの心が折れそうになる時もあるでしょう。しかし、それを乗り越えたその先には、明るい家庭と明るい未来が待っています。
お子さんのSOSを見逃さないように
今回は、リストカットのチェックリストと、お子さんの対応、カウンセリングについてお伝えしました。リストカットは、「心の問題」や「生きづらさ」とも関係しています。チェックリストを使って、お子さんの小さな変化を見逃さず、相談できる体制を整えられると安心ですね。
【著書のご紹介】
タイトル:克服できるリストカット症候群
著者:(淀屋橋心理療法センター) 福田俊一、増井昌美
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