玄関にはいつもきれいなスリッパが並んでいます

淀屋橋の玄関はいつもきれいです

淀屋橋心理療法センターの扉を開けると「ピーンコーン」と、音がします。ちょっと重いドアです。でもだいじょうぶ、ちゃんと開きます。完全予約制ですので他の開業医院に比べると、来所されている人たちの靴はそんなに多くはありません。どなたもきれいに脱ぎそろえてあがっておられます。

そしてスリッパが、ずらりと並んでいます。今日はこのスリッパについて話したくて書いています。きれいんです。いつも、いつも。買ったばかりの清潔な感じのスリッパばかりです。季節を考えて色とか模様なんかも合わせてあります。夏には涼しげなブルーが並んでいました。今は秋深しなので、こいい緑のチェックとベージュ系のチェックのスリッパが並んでいます。だいたい一ヶ月ごとに買い換えています。

来所される方たちにいつも清潔なスリッパを

この発想はいつもの早朝会議で出ました。雑談タイムのときに、スタッフの一人がこんなことを言いました。「きのう来られたお母さんは、いつもスリッパをはかれないんです。靴下のまんまで面接室に入ってこられるので、スリッパをお持ちすると『いやー、私、医院や公民館のスリッパ苦手なんです。すみません』と言われて」。すると別のスタッフが「私もそうです。なんかいやで、いつも履きません。お母さんのお気持ちわかります」と、声をあげました。

「こういうことにずいぶん気をつかう人もいるんだな。それじゃうちは清潔なスリッパを並べることにしよう」という話しになりました。

実現を可能にした100均ショップの「百えもん」

緑地公園の駅から当センターまでわずか徒歩5分たらずですが、その途中に「百えもん」という100均ショップがあります。そこの前には入ったばかりの品物が所せましと並べてあります。大きなバスケットにあふれるように積まれたスリッパが。いつも季節にマッチしたスリッパです。これが100円かと、思わせるくらいしっかりしたいいスリッパです。さっそくスタッフの目にとまりました。

今までの古いスリッパを全部すてて、季節にマッチした新しいスリッパを並べました。来所される家族の方たちにとても好評です。「またきれいになりましたね。今度はどんなのかなって」と、笑顔で話されました。

冒頭のスリッパを履かないことにしているお母さんの予約診療の日がきました。「さー、どっちやろ」と、みんな関心をもって見て見ないふりをしながら気にしていました。「先生、おはようございます」と、挨拶されるお母さんの足には、買ったばかりのきれいなスリッパが履かれていました。

2004.11.15  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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