荒れる言葉にはキーワードがある本「しぐさでわかる心の病気」(エール出版社)

しぐさでわかる早期発見のサイン

  • 「学校、試験」など、気にしている言葉を聞くと目がきつくなる。
  • 朝おこすと「うるさい、ほっとけ」といった暴言をはき、足でけるまねをする。
  • わけもなく突然怒り出すことがふえてきた。
  • 家人の出す音(うがい、新聞をめくるなど)に神経質になる。
  • 気に入らないと、テープルをドーンとたたいたり、ドアをバターンと閉めるたりする。
  • 母親や妹(弟)対して「ああしろ、こうしろと、命令口調でものを言い出す。

家庭で出来る予防法

暴れ出すキーワードを見つけよう

本人は自分の感情をうまく言葉で言うことができないので、かなり抑えていることが多い。ガマンの糸が切れたとき、突然ワーッと暴れだし手が付けられなくなる。この糸が切れるきっかけとなる言葉(キーワード)がみつかるかどうかが、分かれ目である。「学校、試験」という言葉が禁句である子もいるし、「そんなんやめとき」という指図する言葉のこともある。とにかく怒りが噴き出す前のキーワードを見つけよう。

ガマン強い本人を評価してあげよう

家庭内暴力を起こす子は、根っ子の部分では親思い、兄弟姉妹思いのやさしい子が多い。暴れ出しても「なんでそんなことするの。やめなさい」というよりも「ずいぶんガマンしてきたのね。つらかったでしょう」という言葉のほうが、本人の気持ちは早く落ち着く。

どんな言い分もまず「イエス」で受け止めて

「おい、おかん、100万円くれ」と、理不尽な要求を言ってきても、すぐに否定するのはよくない。「なんてこと言うの。17才にもなって」という正論はかえって火に油を注ぐことになりかねない。「え、100万円?うわー、すごい額やね」と、驚いてみせて。少し間をおいて何を言い出すかを待ちましょう。そして本人が言い出したことはしっかりと、耳を傾けて。子どもは親の自分への関心や愛情を確かめるため、とんでもない要求を出すと言うこともある。

「見守りましょう」の落とし穴

「抵抗してはいけません」「ただただ見守りましょう」「そのうち治ります」といったアドバイスをよく聞く。が、これは「なにもしないのと同じ」で、事態が悪化する危険性をはらんでいる。親が抵抗しないことで、良くなってきたか。見守るうちに本人が荒れる回数はへってきたか。また自分からどんどんなにかをやりだしたか。こうした良いデータがでてくるか、観察が不可欠である。子どもの状態が改善する仕組みをつくる専門的なアドバイスを受けていくことが必要である。

しぐさでわかる心の病気

「しぐさでわかる心の病気」(エール出版社)

2019.04.17  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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