原因不明の不登校
「いじめはないみたいだし、勉強にもついていけてるはずなんだけど・・」。小学生の我が子が登校をしぶりだしたものの、はっきりした原因がわからない。原因がわからないから強く押していいものか、無理をさせない方がいいのか、対応に困っているというご相談がこのところ増えています。頭を悩ませているところへ、
「対応が甘いのよ。もっと厳しくしないと!」「無理じいはダメ、自分で動きだすまでそっとしてあげて」など、周囲から様々なアドバイスが・・。
そこで今回は小学生の不登校にありがちな「悩みの種」と解決策の一例をご紹介します。
不慣れ・変化からくる不安
小学一年生は環境が大きくかわり、何もかもが初体験。ハラハラドキドキの毎日です。集団生活にも慣れていないし、他人に叱られることにも慣れていません。そんな中、たとえば担任の先生が当たり前のことで子どもさんを叱っても、他の子を叱ったしても、たとえ優しく叱っても、慣れない子にとっては「怖い(不安)」と感じることがあります。学年があがっても、「リコーダーの習い初め」や「算数の単元が変わる」といった変化の時期にもこうした不安を抱くことがあります。学校を離れても、夜になって翌日のことを考えるだけで不安になる子もいます。最近では毎年クラス替えがあったり担任の先生も毎年代わるという学校も増えてきました。一年生だけでなく小学生のうちはめまぐるしく変わる環境に戸惑うことが多く、それがやがて「漠然とした不安」となって子どもさんを苦しめることになるのです。
自我の芽生え
今まで何気なくつきあってきた同級生。ケンカをしても知らないあいだに仲直り。しかし、四年生ぐらいになってくると、友だちとの相性が気になってきたり、ケンカをしたことが尾を引いてしまったり、男女の性の違いを意識したりと気になることが増えてきたり、気分転換が難しくなってきます。これがいわゆる「自我の芽生え」です。思春期の入口とも言えます。こんな時に大きな変化(クラス替え・転校・病気・入院)を経験したり、ハプニングが起こったりすると、今までのように簡単には解決・解消ができなくなってきます。ここをうまく乗り切ることができず不登校になってしまう子もいるのです。
不登校が長期化する子はこだわり気質を疑え!
何かのきっかけで学校を休み始めても、小学生のうちは友だちの声かけや好きな行事などちょっとしたきっかけで復活できる子もいます。両親や担任の先生の励ましが効果をあげることもあります。しかし、色々な工夫をしても効果が上がらなかったり、励ますとよけいに意固地になったりする場合、「こだわり気質」を疑ってみましょう。このようなタイプの子は励ましたり積極的に登校をうながすことが裏目にでてしまうことがあります。キーワードは「本人の納得」「自分で決断」「せかさない」等いろいろあります。こだわり気質については別の機会に詳しくご紹介します。
学校を身近に感じるような対応を
いくら不安が強いからといって、不安を避けているばかりでは前に進みません。「不安に向き合う力」が必要なのです。そのためには親子の会話の中に学校にまつわる話題がどんどん出てくる形にしなければなりません。低学年の子ならお母さんと一緒に校門をタッチして帰ってきたり、学校の理解が得られれば授業を一緒に受けてみるのも一つの方法です。話題にものぼりやすくなますし、共有できる部分があることで話に同調しやすくなります。中学年・高学年なら別室登校という手もあります。中には休み時間に友だちや担任の先生と話をしてみたり、給食だけ一緒に食べてみたりと少しずつ慣らしていくことで克服できる子もいます。
どうしても学校に足が向かない子の場合、担任の先生に家庭訪問をお願いしたり、友だちにプリントを届けてもらう方法があります。たとえ本人が会うのをしぶっても大丈夫。お母さんが子どもさんの代わりとなって、先生や友だちと接してみて下さい。ポイントは「気軽さ」です。お母さんが担任の先生や友だちと気軽に話していると、次第に安心感をおぼえたり「今日はどんな話だった?」と興味を示してくることが期待できます。
その際、子どもさんの口から不満や不安などの否定的な言葉が出てくることがあります。これはお母さんと一緒に登校する場合でも同じです。実はこれが何より大事なのです。お母さんがその話に同調してやるとさらに効果的です。自分の思っていることが何でも話せ、お母さんにしっかり聴いてもらえることで、不満が解消したり不安が不安でなくなってくるのです。やがて「よし、がんばろう」と努力する気になったり、「もう気にしなくていいや」と開き直れる力がついてきます。