対人恐怖症・対人緊張症というのは見た目ではわかりません。元気で食欲もあり学校にも心配なく通っているというなかでのできごとが多いからです。人に話してもわかってもらえないと思っているので、それだけ本人は毎日とてもつらい思いをしています。
「自分の目つきが悪い」「話す時の表情が硬く、相手にいやな思いをさせてしまう」「へんなやつだと自分は思われているにちがいない」「などと、自分が相手に不快感を与えているのではないかとたえず気になっています。「そんなことないよ」「だいじょうぶよ」「人はそこまで気にしてないから」と、安心させてあげようとついこうした言葉をかけてしまうのですが、よけい本人を苦しめてしまいます。「そう、そんなに気になるの。つらいね」といった気持ちをくみ取る言葉の方が良いでしょう。
対人恐怖症・対人緊張症の人は「顔がこわばって人前で話せない」ということを、とうとうとカウンセラーには話せるから不思議です。自分の関心あるテーマや好きなことなどについてはよく話せるので、家ではできるだけ本人が話しやすいテーマを選んで話し合いましょう。また心に思ったことをすぐ口や表情に出してしまう純粋で正直なタイプが多いようです。そのため、自分では気づかないうちに窮地に陥るという体験を何度かしているはずです。心に思ってもワン・クッションおいて、相手をよく観察して、状況を把握してから出すというトレーニングも効果があります。
対人恐怖症・対人緊張症にはいろんな種類があります。顔が赤くなる赤面恐怖、目つきが気になる自己視線恐怖、いやな臭いを出していると思う自己臭恐怖などです。緊張のあまり手が震えて字が書けないといった症状が一般的には多くみられます。ただ対人恐怖症・対人緊張症のようにみえても、別の心の悩みが隠れていることがよくありますから、よい専門家にかかることをおすすめします。