「非行」は「怠け」?
学校はちょくちょく休むし、来たかと思えば遅刻に早退。まじめに勉強する気もないみたい。おまけに茶髪・ピアスに服装違反。きびしく注意しても効き目なし。親の注意もなんのその。いつも帰りは午前様。いったいこいつは何を考えてるんだ!!!。
このように、不登校の生徒は家に閉じこもっているばかりではありません。いわゆる「非行っぽい」生徒に手を焼いている先生方も多いのでは。「他の不登校の子はまじめでおとなしいのに、こいつは怠けているたけだ」・・・。
日ごろの様子からそう判断するのはごもっともです。でも、これはあくまで仮の姿。ちょっと対応を変えてみると意外な面がでてきます。
その一例をご紹介しましょう。
「強がり」は仮の姿。実はとっても「さびしがり屋」なんです
強い口調で注意すると反発ばかり。逆に、気軽な雰囲気で接してみると思いのほか気さくな面を見せることがあります。こんな子ほど相手にどう思われているかをすごく気にしています。おまけにさびしがり屋ですから、学校に居場所がないと感じるととっても行きづらくなります。気軽に話せる先生や友だちが学校にいる。これが何よりの登校動機なのです。
見た目は「派手」。でも、内面はとっても「デリケート」なんです
オシャレや夜遊びにかける情熱を少しでも勉強にそそいでくれれば・・。ところが、見た目とはウラハラに勉強の遅れを気にしている子がけっこう多いのです。「進むペースが早くておいつけなくなった」「先生の説明がわからない」。子どもさんの口が軽くなってくると意外とこんな言葉がでてくるかも。また、いろんなことを気にするタイプですから対人関係や自分の将来など、何か心配ごとがあって勉強の方まで気がまわらないのかもしれません。
昔は「手のかからない」「良い子」だったんです
カウンセリングにこられたほとんどのご両親が口をそろえてこう言います。それは、幼いころからまわりの顔色ばかりうかがいながら行動してきたからです。「今日のお母さん機嫌悪そうだな」「おかずの文句言ったらきっと怒られるだろうな」など、先に頭で考えてなかなか口にだせないのです。そんな子が調子をくずすのは中学生の頃が多いようです。ちょうど勉強や友だちづきあいがむずかしくなるころですからね。
友だちの前では「明るくて人気者」。実は「気をつかってる」んです
「だまっていると嫌われるんじゃないか」「誘いをことわると陰で悪口を言われるんじゃないか」「ニコニコしてないと雰囲気をこわしてしまうんじゃないか」・・。見た目には明るくても内心こんなことを考えて友だちと接している場合が多いのです。つねに「相手中心」「雰囲気重視」。人づきあいはとっても疲れるのです。だまっていても大丈夫、暗い話題でも気にせず話せる。こんな相手が一番リラックスできるのです。
「プライド」が高く、「弱音」をはいたことがない。だから、苦手なことは避けたいんです
「イヤなことからいつも逃げている」「苦手なことでも努力しようとしない」「調子のいいことばかり言ってぜんぜん実行しない」。意外と高い理想をもっているものの、自信がないとすぐにあきらめてしまいます。ここは周囲の大人の出番です。不安が言えたり弱音がはける環境をつくってあげるだけで、行動力(意欲)がでてきます。ちょうど水泳の息つぎのようにちょっとがんばっては弱音をはく。こうすることで継続力もついてきます。
<親御さんのタイプ>「まじめ」で「正義感」の強いご両親が多いのです
まじめで正義感が強いだけでなく、子どものことが心配で寝付きが悪くなったり、食事がのどを通らない方もおられます。それほど子どもさんの脱線が家族にとって一大事なのです。帰りが遅いと良からぬことばかり考えてしまい、心配が度をこして怒りに変わることも。ですから、子どもの行動が悪いからといって親を責めてしまうと家庭内の悪循環をまねいてしまい、ますます悪い方向にいってしまうことがあります。
・・・ いかがですか。私どものセンターにもこのような子どもさんの相談が多数よせられています。そして、どの親御さんも一日も早く解決したいという動機づけが強く、取りくみも非常に熱心です。一方の子どもさんも周囲の対応次第で変化しやすく、解決までのプロセスがはっきりしています。学校にも家庭にも自分のことをわかってくれる人がいて弱音がはきやすい。これが何よりの安心材料であり、再登校(安定登校)にこぎつける最短ルートなのです。