保健室の先生からご相談を受けたK君のケースです。第一志望の進学校に見事合格したK君。意気揚々と高校生活をスタートさせたのですが5月には「もう辞めたい」と相談にきました。あれほど憧れ目指していた高校ですが、いざ入学してみると夢見ていた学校生活と現実の差に失望してしまっています。
- 勉強はレベルが高すぎて一日でも休むとついていけなくなるのではという恐怖。
- 中学では常に上位にいたのに高校では中位から下位の成績でプライドも自信も喪失してしまった。
- サッカー部でも頑張ろうと思っていたのに仲間は塾優先で練習には全く気合が入っていない。
- 通学に時間がかかり電車も満員で大きな通学バッグが邪魔で周りの人に露骨に嫌な目で見られる。
等々次々と嫌なことばかりが頭に浮かび離れなくなっています。
親は最難関の進学校に通う息子のことが心から嬉しいようで口が裂けても辞めたいなんて言える雰囲気ではないしと一人で悶々と悩んでいるK君がいました。
現実と理想は往々にして違います。そこを上手く折り合いをつけ受け入れながら乗り越えていくことが必要だと思います。その為には一番身近で信頼できる家族に初期段階から愚痴や不安を話せていることが大事なのです。話すことで気持ちに折り合いをつけたり、妥協したり、上手くしのいでいけたりする力が育ってくるのです。
しかしK君の様に心の優しい人は親に心配をかけたくない、あんなに喜んでいるのに失望させたくないという気遣いが先に立つのです。元々気遣い優先の優しい穏やかな家族によく見られることです。K君が自分の喜怒哀楽を気遣いなく吐き出せる家族、それでも以前より絆の強い家族に変わっていってもらいたいのです。
2015.01.27 著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》スタッフU
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
シリーズ記事
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2015.01.27
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