摂食障害の治療法 解決のカギは“食”以外のところに目を向けること

― 摂食障害(拒食・過食)を乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました! -

梅雨の晴れ間の6月25日(金)に、摂食障害を乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました。

プログラム

  1. 所長 福田俊一(医師)からの挨拶
  2. 摂食障害を治療するために大切なこと
     所長 福田俊一より
  3. ケース紹介
    ① 過食症のケース
    ② 拒食症のケース
      臨床心理士 福田俊介より
  4. 今日からできること
     所長 福田俊一より
  5. 親御さんからの質問コーナー
  6. 事前相談・初回面接のご案内

以上の内容で、勉強会は進みました。
その内容の一部をご紹介します。

ご興味のある方は、是非、
当センターに足をお運びくださいね!

◆摂食障害を治療するために大切なこと◆

“摂食障害を治すのは簡単ではない”ということは、
今まさに悩みの渦の中にいらっしゃる皆さんが一番感じていらっしゃることだと思います。

当センターの所長 福田俊一は
“食べること”以外に解決の糸口があると考えます。

「病院で治療してもらい、一旦は落ち着いていた。
でも、ちょっとしたきっかけで再発し、10年以上苦しみ続けている」
というご相談も、当センターにたくさん寄せられています。

“食べることの病気”であるにも関わらず、
摂食障害は、食べ方を工夫しアドバイスするだけではうまくいかないことが多くあります。

それはなぜなのか… 摂食障害に苦しむお子さんのために親御さんはどんなことをしてあげられるのか… 所長 福田よりお話させていただきました。

いろいろな性格の人がいるように、 摂食障害の治療方法もたくさんあります。 その子に合った治療方法はどんな方法なのか。

当センターは、摂食障害に悩む方々が本当の意味で治っていくためのガイド役として、 皆さんのお手伝いをしたいと考えています。

◆ケース紹介◆

《ケース1 過食をした後に家族に当たり散らしてしまう20代女性》

社会人のYさんは、過食・対人緊張・抑うつに悩んでいます。
家にある食べ物を食べすぎては、
「太ってしまう。食べ物を置いているお母さんのせいだ!」と、
お母さんに当たり散らす毎日でした。

お母さんは、フルタイム勤務と同居しているおばあさんの介護でとても多忙。
それでも、愛する娘さんのために、工夫してYさんとの時間をつくり、
Yさんの性格に合わせた対応を根気強く続けていると、
少しずつYさんに変化が起きてきました。

笑顔が増え、過食して揉めることが減ってきたのです!

順調に見えたYさん。
しかし、あることをきっかけにトラブルが起きてしまいピンチに・・・

しかし、そのピンチをチャンスととらえてYさんに合った対応を続けた結果、 Yさんの過食は治まり、家庭全体の雰囲気も穏やかになりました。

《ケース2 拒食 妹にたくさん食べさせようとする大学1年生の女の子》

ダイエットから拒食症になってしまったRさんは、
自分の優越感を得るために、毎日、妹にたくさん食べさせようとします。
当然、妹さんとも不仲になってしまいます。

ご両親は協力して、
甘え下手で自信が持てないRさんの性格に合わせた対応を続けました。
すると、、
Rさんは少しずつ口数も増え、両親に甘えられるようになり、明るくなってきました!

しかし、それでもなお、体重は下がり続けます・・・

それでもあきらめずに親御さんが対応を続けた結果、
体重もようやく増えはじめ、妹さんとの不仲も解決!

強く、自分らしく生きることのできるRさんに成長し、
本当の意味でRさんは摂食障害を乗り越えました。

ケース紹介では、どのような対応をしたらお子さんにどのような変化が起きていったのか具体的にお話しました。

印象的だったのは、
「摂食障害は学生時代に発症する方が多いですが、
10年20年が過ぎるのは意外とあっという間です。
今は10代20代のお子さんも、すぐに30代40代になってしまいます。」

という、臨床心理士 福田俊介の言葉です。

親御さんにとっては、いつまでも可愛いわが子。
あっという間に歳をとるなんて考えられませんよね。

大切なわが子の大切な人生をどのように描いていくのか。
親として、悩めるわが子に今してあげられることは何か。

私は勉強会のアシスタントとして参加させていただきましたが、
子を持つ母として、ハッとさせられる言葉でした。

◆今日からできること◆

いろいろなことを変えていくには、とてもエネルギーが必要です。
しかし、一人で変わることはできなくても、
身近なお母さんやお父さんとの関係の中で変われる可能性は大いにあります!

「きょうだいのバランスを考えると、1人の子にだけ時間を割けない」
「両親ともに仕事をしていて、相談している余裕がない」
「私が何を話しても、アドバイスしても、聞き入れないから・・・」
ご家庭ごとに、いろいろな事情がありますよね。
そして、第一歩を踏み出すというのはとても勇気のいることです。

それでもまず、目の前で悩んでいるお子さんのことを見てください。

ものすごいエネルギーで“食”へこだわり続けているお子さんだからこそ、
そのエネルギーを外へ向ければ変わることができます!

まずは、身近な小さな変化を見逃さないように。
「いつ治るの?」と焦っていては、
お子さんの変化になかなか気づくことができません。

きちんと食べられるようになるには時間がかかります。
体重の増加には時間がかかります。

でも、親御さんがあきらめずに、お子さんに合った対応を続けてくださり、
お子さんに変化が現れれば、必ず体重も増えていきます!

◆親御さんからの質問コーナー◆

親御さんからの質問コーナーでは、

「拒食から過食に変わることがあるとよく聞きますが、
 回復過食期というのは起こりますか?」

「作ってあげたものを隠れて捨てていますが、見て見ぬふりをするべきでしょうか?」

など、参加者の方皆さんがとても積極的に質問されていて、
他の方の質疑応答にも深く頷かれ、メモを取られる姿が印象的でした。


限られた時間ではありましたが、
皆様の熱心なお気持ちにお答えできるように、
私たちも日々努力して、少しでもお力になりたい!
そう強く思える勉強会でした。

この度は、当センターの勉強会に足を運んでいただきましてありがとうございました。
この勉強会が、皆さまにとって良いきっかけとなりますように。

2021.07.14  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》原田友美

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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