― ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました! -
10月8日(金)に、当センターの新しい試みとして
ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました。
今回が記念すべき第1回目です!
プログラム
- はじめに 所長 福田俊一(医師)
1)早く治るケースと時間のかかるケースの違い
2)お子さんの持ち味を見抜く
3)引きこもりを長期化させないために
4)長期化していても解決しやすいケースはある - ケース紹介 臨床心理士 福田俊介より
【ケース1】自室にこもり長年笑顔を見せなかった男性
【ケース2】高校を中退しひきこもりになった男性 - Q&A
以上の内容で、勉強会は進みました。
その内容の一部をご紹介します。
ご興味のある方は、是非、
当センターに足をお運びくださいね!
◆ひきこもり解決に大切なこと◆
ひきこもりが長期化してしまうか、早く解決できるかは、
お子さんの性格にあった対応を
親御さんが粘り強く実践できるかどうかにかかっている
という、所長・福田のお話から勉強会は始まりました。
ひきこもりを解決し、お子さんを成長させるには、
以下のようなステップでお子さんが親御さんと会話できるようになることがとても重要です。
長期化して、親御さんが諦めてしまいたくなるほどの重度のひきこもりも、
きちんとステップを踏んでお子さんを成長させることで解決したケースがたくさんあります!
とはいえ、2~3日でみるみる回復するということではありません。
まずは3~4か月、親御さんにお子さんの性格に合った対応を
辛抱強く続けていただく必要があります。
“ひきこもったお子さんとのコミュニケーションをとることの難しさ”は、
親御さんが直面している壁のひとつではないでしょうか?
“コミュニケーション”と聞くと、“会話をすること”に焦点が向きがちですが、
ひきこもりのお子さんとのコミュニケーションは、“会話をすること”だけでなく、
“お子さんが行動しやすいように配慮して親御さんが対応すること”も大切なコミュニケーションの1つとなります。
お話の後半には、“お子さんとの会話が少ない場合には、行動にも注目する”ことの大切さ、
具体的にどのようなステップで、
お子さんの性格に合った対応方法を導き出していくのかもご説明させていただきました。
いろいろな性格の人がいるように、
ひきこもりのお子さんの対応方法もたくさんあります。
その子に合った対応方法はどんな方法なのか。どんなことに注目すればいいのか。
当センターは、ひきこもりに悩むご本人が本当の意味で成長するためのガイド役として、
皆さんのお手伝いをしたいと考えています。
◆ケース紹介◆
《ケース1 自室にこもり長年笑顔を見せなかったが、家族と旅行を楽しめるようになった男性》
小さなころから頑固で、人から指示されることが嫌いなYさん。
大学受験に失敗したことをきっかけにひきこもってしまいます。
トイレとキッチンに出てくる以外は自室にこもり、
家族との会話はほとんどありません。
親御さんは、声かけ・質問・簡単な家事の手伝いをさせようとするなど、
本やインターネットで調べた対応方法を試してみますが、
どれもうまくいきません。
親御さんは「息子の笑顔をもう一度見たい・・・」と
切実な思いで当センターにご来所されました。
親御さんがYさんの性格に合わせた対応を根気強く続けていると、
少しずつYさんに変化が起きてきます。
はじめは文章でしゃべらず、
聞いたことに対して「いちごジャム」「ミルク」など
単語でしか返事をしなかったYさんですが、
2~3か月で会話のキャッチボールができるようになり、
お母さんにじゃれてくるようになったのです!
その後も親御さんに根気強く対応を続けていただいた結果、
Yさん家族に、笑顔と笑い声が戻ってきました。
《ケース2 高校を中退しひきこもりに — 少し遅れて青春を取り戻した男性 —》
高校中退後、ひきこもりになってしまったAさん。
ひきこもってからも家族との会話は少しだけありましたが、
「人の目が怖い」「めんどくさい」「体調が悪い」が口癖でした。
ご両親は協力して、
親の提案を受け入れようとしないAさんの性格に合った対応を続けました。
すると、、
Aさんの口数は少しずつ増え、お母さんに甘えるようになり、
よく笑うようになりました!
しかし、その後はなかなか良い変化がありません・・・
理由は、親御さんが元気になってきたAさんに安心してしまい、
Aさんへの対応がもとに戻ってしまっていたことにありました。
その後、Aさんへの対応を見直し、根気強く続けた結果、
Aさんは自分の意思で職業訓練校へ入学し、
学校を休むことなく、友人たちと楽しく学校生活を送ることが
できるようになりました。
ひきこもりの解決だけでなく、Aさんは青春を取戻すことができたのです!
今回ご紹介したケースは、どちらも引きこもっていた期間が2〜3年のケースですが、
小さな頃から人とのコミュニケーションや学校生活などに悩みがあり、
生きづらさを感じていました。
このように、小さな頃から生きづらさを感じていたお子さんが、
ある日突然ダウンして、ひきこもってしまうケースは少なくありません。
ケース紹介では、お子さんにどのような対応をしたら、
お子さんにどのような変化が起きていったのかを具体的にお話しました。
お子さんへの対応で大切なことは、
お子さんが元気になり始めた時に、親御さんが気を抜かないこと。
今までひきこもっていた子に変化が現れたら
親御さんは「明るかったあの子がかえってきた!」と、
ひきこもる前と同じように接したくなりますよね。
ここで油断せずに頑張ると、お子さんはもっと元気になってきます。
今回、勉強会スタッフとして参加させていただきましたが、
子を持つ母親として勉強会でのお話を聞いていくうちに、
「そういえば、うちの子が生まれた時に、
『この子は将来どんな子になるだろう?』
『どんな子と結婚して、どんな幸せな家庭を築くだろう?』
と子どもの幸せな未来をわくわくしながら想像したな・・・」とふと思い出しました。
お子さんの幸せな未来予想図を想像するのは、
親御さんなら誰しもが経験しているのではないでしょうか?
今は、ひきこもってしまったけれど、もう、失ってしまった未来でしょうか?
取り戻せない人生でしょうか?
お子さんのイキイキとした人生は一人で変わることはできなくても、
身近なお母さんやお父さんの協力があれば今からでもきっと取り戻すことができると、
私は勉強会に参加して感じることができました。
◆親御さんからの質問コーナー◆
親御さんからの質問コーナーでは、
「親を避けていて会話どころか顔を合わせるタイミングもほとんどありません。
そんなときはどのように対応したらいいですか?」
「休職中の子どもの職場からの連絡について、どこまで子どもに伝えたらいいですか?」
など、たくさんのご質問をいただきました。
限られた時間ではありましたが、
親御さんのご質問にはハッとさせられるものがあり、
ご質問に対するカウンセラーの答えにも新しい発見がある勉強会であったと思います。
ひきこもり勉強会の試みは始まったばかりです。
今後もどんどん発展した情報をお届けできるように
カウンセラーとスタッフ一丸となって努力したいと思います。
この度は、当センターの勉強会に足を運んでいただきましてありがとうございました。
この勉強会が、皆さまにとって良いきっかけとなりますように。