親御さんが、お子さんの不登校をピンチからチャンスに変える!

― 不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました -

11月5日(金)に、
不登校を乗り越えるための親御さん向け勉強会を開催しました。

プログラム

  1. はじめに 所長 福田俊一(医師)
    ・不登校と発達障害
    ・不登校とゲーム依存
  2. 親が対応を変えることで、不登校が解決したケース紹介 
    臨床心理士 福田俊介より
    【ケース1】友達が多く、しっかり者の中学生の女の子が突然不登校に・・・
    【ケース2】発達障害があり、ゲーム・スマホ依存の中学生の男の子
  3. Q&A

以上の内容で、勉強会は進みました。

その内容の一部をご紹介します。

ご興味のある方は、是非、
当センターに足をお運びくださいね!

◆不登校と発達障害◆

「不登校になった息子を病院に連れて行ったら“発達障害”と診断されて・・・」
「再登校できるかだけでなく、これからの将来の事も不安で不安で・・・」
最近では、こういったご相談も当センターに寄せられることが増えています。

実際に、不登校がきっかけで病院を受診し、
お子さんの発達障害が発覚する(診断される)ことも珍しくありません。
それで、心を痛めていらっしゃる親御さんも多いことでしょう。
でも、治療を続けていくうちに、上手に自分の性格とつき合うことが出来るようになったり、
生きづらさが軽くなってきたりすることは珍しくありません。

という、所長・福田の言葉から勉強会は始まりました。

また、不登校とゲーム依存の関係と
ゲームに依存して(夢中になりすぎて)しまったお子さんの、
“夢中になって好きなことに没頭する力(特性)”を活かした
不登校とゲーム依存の解決方法
についてもお話させていただきました。

◆親が対応を変えることで、不登校が解決したケース紹介◆

当センターの治療方法でお子さんの治療を進めていくと、
どのような変化がお子さんに起きて、登校できるようになるのか。

これは、親御さんが一番気になるところだと思います。

今回は、時間の経過とともにどのようにお子さんに変化が起こっていったのか、
いつもの勉強会のご報告よりも詳しくお伝えしたいと思います☆

《ケース1 友達が多くしっかり者の中学生の女の子が突然不登校に・・・》

学級委員を務めるほど社交的でしっかり者のHさんは、友達が多く、ダンスが大好き。
学校の行事では得意なギター演奏をするほどで、
親御さんはHさんが不登校になるなんて想像していませんでした。

Hさんが登校できなくなってしまったのは本当に突然。
会話もなくなり、笑顔を失ったHさんに
親御さんは戸惑うばかりで、全く理由がわかりません。

来所されたお母さんからHさんの状況を聞くうちに、
カウンセラーが注目したのは、母子のタイプの違い。
テキパキと何でも早めにこなすお母さん
準備などはギリギリになってからするタイプのHさん

家でもテキパキと忙しそうに家事をこなすお母さんに、
Hさんは甘えたり、悩みを打ち明けられずにいました。

お母さんはHさんのためにゆっくりと落ち着いて話せる時間を作り、
Hさんの好みや性格を認めてあげることで、会話は少しずつ増えます。
「今まで、娘とこんなに長くゆっくりと話すことなかったな」
と気が付くお母さん。

その後も、お母さんはカウンセラーと連携しながら
Hさんの性格に合った対応を続けます。

– 治療開始から2ヶ月後 –

「私は、事前に準備しておかないと気が済まないタイプなので
娘に対して『ギリギリになるまで準備できないなんて・・・』と思っていましたが、
娘はこういうタイプなんだと認めてあげたら、
少しずつ娘に自信が戻ってきたような気がします。

最近は、『ギュッてして!』と言って甘えてきて、
本当はこんな子だったのかと、新しい発見もあります
こんな風に、お母さんがHさんのことを愛おしそうに語るころには、
Hさんは少しずつ登校できるようになり、
「ママの前でも、友達と一緒にいても、学校でも、本当は無理していたの」
と、本音を語ってくれるようになりました。

– 治療開始から半年後 –

「私、自分のことが好き!」と明るく登校できるようになったHさん。
卒業式には、
「ママが話を聞いてくれて、いつもそばにいてくれたから頑張れたんだよ!」と、
嬉しそうにお母さんに語ってくれたそうです。

《ケース2 発達障害のある、ゲーム・スマホ依存の中学生の男の子》

小さなころから生きづらさを感じていたSさんは、
小学生の頃に発達障害と診断されました。
Sさんの性格はとてもマイペースで協調性が無く、準備のスピードもゆっくり。
興味のあることは、相手の顔色も気にせず一方的に相手に話し続けていました。

 

周りの人とのコミュニケーションは上手ではなかったSさんですが、
勉強の成績は良く、中学受験も見事合格!
志望していた中学校に通い始めますが、
入学して1年が過ぎた頃に不登校になり、家では常にスマホ・ゲームに夢中。
食事も動画を見ながら。
会話はほとんどなく、笑顔も元気も無くなってしまいました。
夜遅くまで起きていて、昼間まで寝ている。
そんな状況に、
「家庭内別居をしているような状態だ」
とお母さんは悲しく感じておられました。

親御さんは、ゲームやスマホに夢中になっているSさんを心配し、
やめさせようとしますがうまくいきません。

そんな時に、ご両親は当センターに来所されます。

一般的にはゲーム依存の子への対応方法として、
“毅然とした態度で”と指導されることが多く、
実際に“毅然とした態度で”お子さんに対応される親御さんは多いと思いますが、
カウンセラーは、
「Sさんの場合は、そのような方法ではゲーム依存は改善されないでしょう。
Sさんの性格に合った対応方法がありますので、
親御さんはそれを実践してください」と、
Sさんの家での様子や会話の内容などをじっくりと伺った上でアドバイスしました。

– 治療開始から1か月後 –

Sさんのしんどそうだった表情が少しずつ穏やかになり、
たまに、Sさんの方から親御さんに話しかけてくるようになります。

– 治療開始から2ヶ月後 –

Sさんの口数はさらに増え、目をキラキラとさせて話すようになります。
ゲームやスマホに夢中になると、会話を拒否していたSさんですが、
ゲームをしながらお母さんと会話を楽しむことができるようになりました。

お母さんとの話題も、はじめはゲームやYoutubeばかりでしたが、
次第に、ネットニュースや家庭での食事のこと(Ex.「お母さんコレおいしいね」)
など、話題に広がりが出てきました。

親御さんがSさんへの接し方のコツをつかむと、Sさんはどんどん成長していきます。
そしてついに!
発達障害があるから…と、親御さんが半分あきらめかけていた
協調性も芽生え始めてきたのです!

「お母さん、髪切った?」
「お兄ちゃんが使った皿も流しに置いておいたで」
時々ではありますが、
お願いしていないのに家族の分の皿まで洗ってくれるようになりました!

「こんなの初めてです!」とお母さんは感動されました。

たくさんの良い変化が起こって成長したSさんは、
徐々に登校できるようになり、
ゲームやスマホとも上手に付き合えるようになりました。

ゲーム依存で家族と家庭内別居状態だった男の子は、
協調性のある“どこにでもいるゲームが大好きな中学生男子”になり、
今では家庭内に笑顔があふれています。

ケース紹介では、お子さんにどのような対応をしたら、
お子さんにどのような変化が起きていったのかを具体的にお話しました。
(個人情報保護の観点から、個人が特定されないよう配慮した上でお話しています。)

私は勉強会スタッフとして参加しましたが、
親が諦めなければ、子どもの成長は無限大なんだ。
不登校を子どものピンチのままにするか、成長のチャンスに変えるかも、
親の心持ちと対応次第で大きく変えることができるんだ!
ということを改めて感じることができました。

◆不登校のお子さんを持つ親御さんからの質問コーナー◆

親御さんからの質問コーナーでは、

「コロナの影響でなんとなく不登校になったようです。
 そこまで悩んでいる感じがしないのに登校したがりません。
 登校するように働きかけたいのですが、どのようにしらたいいでしょう?」

「自信を無くしている子どもは、褒めて認めてあげるのが正しいのでしょうか?
 親ができることはありませんか?」

など、たくさんのご質問をいただき、じっくりお答えさせていただきました。

はじめは緊張した様子で来所された親御さんばかりでしたが、
話が進むにつれて、「そうそう!」と深く頷かれたり、
ケース紹介でお子さんが元気になったシーンでは、
にこやかに相槌を打ってくださる親御さんが多く、
とても和やかな勉強会であったと思います。

この度は、当センターの勉強会に足を運んでいただきましてありがとうございました。
この勉強会が、皆さまにとって良いきっかけとなりますように。

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2021.11.25  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》原田友美

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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