ひきこもり解決の鍵は「受け身」からの脱却

~第3回「ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け勉強会」が開催されました!~

当センターでは、昨年12月21日、3回目となる「ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け勉強会」を開催しました。勉強会は、所長で医師の福田俊一の話から始まりました。

<こだわり気質とひきこもり>

① ひきこもりの原因は様々だが、ひきこもる子には、気にしやすい、器用ではない、速いテンポが苦手など「こだわり気質」の子が多い。このタイプの子には、受け身が苦手なのに受け身になりやすい、という問題がある。 ② まずは小さな所からお子さんの性格に合った対応をし、小さな変化を積み上げていく事が大きな効果を呼ぶ、という話でした。

<具体的な解決事例>

次に、臨床心理士の福田俊介から、当センターのカウンセリングでひきこもりが解決した2つの事例が紹介されました。

① 高校を中退し引きこもった、20代男性のケース(少し親子の会話があったケース)

② 自室にこもり、長年笑顔を見せなかった、発達障害のある20代男性のケース(ほぼ親子の会話が無かったケース)

福田俊介はこれらのケースについて、以下の事を強調していました。

お子さんの性格と現在の状況を見極める

10人ひきこもりの人が居たら、10人皆が同じタイプと言うことはない。多くの親御さんは子どもに声かけや、会話を長続きさせるために質問をしておられる。しかし、親の声掛けや質問が有効な場合もあれば、子どもを余計に追い詰めてしまう場合もあるので、注意が必要だ。どんな手がその子にとって有効かは、お子さんの性格と現在の状況をしっかり見極めたうえで考える必要がある。    

赤ちゃん返りは子供を成長させるチャンス

また、2つの事例に共通していたのは、親が対応を変えると、20代の男性が小学生のようにじゃれてくるなど、赤ちゃん返りのような現象が起こった事だ。親がこの「じゃれあい」を嫌がらず、むしろ“一緒になって楽しんだ“。これが人に安心して接するための土台作りになったのではないか、という話でした。

<質問コーナー>

Q:子どもの持ち味に合わせた対応というのは「甘やかし」とどう違うのか?
A:所長からは、甘やかしだとしても、本人に良い変化がみられ、成長していっているならば大丈夫。子どもを成長させようと厳しくしても全く成長しないタイプも居る、との回答がありました。

<親を責める子>

3月のひきこもり勉強会では、親を責めるケースも発表予定です。 親のせいで自分の人生がうまくいかないと親に暴言を吐く相談が、最近増えているためです。


筆者も少し「こだわり気質」で、仕事の進め方など、様々な点で受け身になって周囲の意見に流されやすいので、もっと自分の意志で決めなければ、と改めて思った勉強会でした。
寒い中、ご参加頂き、誠にありがとうございました。

2022.01.26  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》益子玄一郎

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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