4月15日(金) 親御さん向け過食症勉強会を開催いたしました。
冒頭で勉強会にお越しいただいた理由をお聞きすると
「薬を使わない治療法が良いと思った」
「親の関わり方を具体的に学びたいと思った」
と親御さんたちが回答して下さいました。
《ケース紹介:担当 臨床心理士 福田俊介》
責任感が強く優しい、NOと言えない女性
ナナミさん(仮名)は優しく真面目で責任感が強い20代の会社員です。
「NO」と断ることが苦手です。
その為、仕事を押し付けられやすく、そのストレス(怒り)から過食を毎日していました。
一方で、親御さんの性格は気が強いタイプ。「NO」と断るのが得意な方でした。
だから、「そんなものは断りなさい」「NOと言いなさい」と助言するのですが、親御さんが言ったところでナナミさんの行動は簡単には変える事ができません。
当センターのアドバイスのもと、親御さんが対応を変えてくださると
徐々にナナミさんが職場でも「 NO 」と言えるようになってきました。
ナナミさんの変化の順番としては、まず親御さんの前で職場に関する文句が言えるようになりました。その後、しばらくしてから徐々に職場で「NO」と言えるように強くなっていかれました。
カウンセリングにはお母さんお一人で来所されました。
ここでは、家の中でのナナミさんの上司に対する文句の言い方を
見てみましょう。
お母さんの報告から見えるナナミさんの姿です。
家の中でこれぐらい怒りを表現できるようになってくると
(吐き出せるようになってくると)
イライラやモヤモヤした気分を次の日まで引きずるということが大幅に減ってきました。
「その日のストレス・その日に発散」という形です。
不思議に思われる方もいらっしゃるでしょうが、このように文句をしっかりと言えるようになってくると、ナナミさんは強くなってきて
その後、徐々に「NO」と断れるようになってきました。
またその断り方は、人と揉めない上手な伝え方です。
この記事を読んでくださっている親御さんの中には
「本当にNOなんて言えるようになるの?」
「うちの子は小さい時から内気だったし、人前で喋るのも、とてもあがり症で
苦手だったから、本当にそういうふうに変わるの?」
と思われた方も沢山おられると思います。
我々は、親御さんが対応を変えてくださると確かにそういう風に変わっていかれる過食症の方々を沢山見てきました。
ただ、それがうまくいく為には、お子さんの性格分析をまずしっかりする。
そして性格にピタッと合っている対応をしなければいけません。
また、文句ばかり言う人ではなく、「文句も言うが、周りの人の良いところもしっかりと見ている人」に育つよう、微妙な舵取りにも注意を払います。
《 Q & A 担当 医師 福田俊一》
Q1:ケース紹介で話されていた子(前述のナナミさんのケース)は、自己主張が強くなって、過食を克服したと感じました。
うちの子は自己主張が強いのに、それでも過食をしているのですが…。
A:「自己主張が強い」というのと「自己主張がうまい」というのは全く違います。お子さんがもっと上手に自己主張が出来るように援助していく必要があると思います。
Q2:今日の勉強会の話を聞いて子どもの性格に合った対応方法を身に付けるのは難しいのではないかと思ったのですが…。
A:方法をお伝えして、すぐに覚えられるものではありません。
我々カウンセラーと何度も会って頂いてるうちに、徐々に対応は身についていきます。
そして、身についてしまえば、その後はあまり意識しなくても、自然とお子さんの性格に合った対応ができるようになっています。
そうなるとお子さんと関わるのが、あまりストレスではなくなってきます。
Q3: 荒れていたり、落ち込んでいる子供の様子を見ていて、親のメンタルが持続するか心配なのですが。
A:カウンセリングに通って下さっている中で、
親御さんが「明らかにうちの子供は変わってきた!」と手応えを感じると
親御さんのやる気は持続します。
ただ手応えはすぐに出てこない場合もあります。
手応えが出てくるまでカウンセラーは親御さんのガイド役・サポート役として働きます。
Q4:現在、他の医療機関に通っているが、同時に淀屋橋心理療法センターに通うことも可能か?
A:もし、現在通われている他の機関が、本人だけではなく親御さんに対しても
具体的にアドバイスしてるところであれば、どちらか一つに選んでもらった方が良いです。
ただ、親御さんに対して、当センターほど具体的なアドバイスをしているところはあまりないようです。親御さんに対するアドバイスがなければ、同時に通っていただくことは問題ありません。ご心配な場合はご相談下さい。
《強い子に育てましょう》
過食症の多くの人は優しい心の持ち主です。
親御さん達は「優しいお子さん」に育てることには成功されました。
では、次は「優しくて“強い子”」に育てましょう。
そのために我々がガイド役として、親御さんと二人三脚、
あるいは三人四脚で、森の中を歩いて行きます。
道中、迷ってしまわないように。
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著書:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊介