「うつでお悩みのご本人を支えてあげたい親御さん・配偶者さん向けの勉強会」
7月22日、淀屋橋心理療法センターでは、第一回目のうつに関する勉強会を開催しました。
これまで「不登校勉強会」や「摂食障害の勉強会」「ゲーム依存勉強会」など、多くの勉強会を開催し、勉強会に来て下さる皆様が、どのようなことを学びたいか、何に困っていらっしゃるかなどを考え、少しずつ内容を進化させてきました。
今回「うつ」に焦点を当てた勉強会を開催することになったのは、
うつが私たちにとって身近な存在の病気になりつつあること
また、うつは自殺などを引き起こすとても深刻な病気であり、解決の方法を知りたいというご家族のニーズが高まっている
と感じたからです。
そして、当センターが長年の経験をもとに辿り着いた「家族療法を独自に進化させた治療法」によって、どのようにしてうつがきれいに治るのかを知っていただける機会を作りたいと考えました。
家族の協力でうつはきれいに治る
みなさんは「うつを治す」ということにどのようなイメージをお持ちでしょうか?
周りの人がどうにかするというよりは、どちらかというと、うつを患っているご本人さんが、自分の意志で休養を取ったり、治療を行なうといったイメージではないでしょうか。
・抗うつ剤を中心に、色々な薬を使って状態の改善をはかる薬物療法
・認知行動療法などの精神療法
上記のようなものが、現在多く用いられているうつの治療法です。
これらはいずれも、ご本人さん自身が治療や休養の意義を理解し、「うつを治したい」という強い意志を持って取り組んでいくものです。
しかし当センターの治療は、ご本人さんがお一人で治すというやり方はしません。
親御さんや配偶者さんに、治療の協力をしていただきます。
ここが、他の専門機関とは大きく異なるところだと思います。
ご本人さんご自身が「自分でなんとかしたい」という意思のもと、薬物治療や精神療法で治すことができればそれで良いのですが、ご本人さんに行動する力が湧かず、なかなか行動に移せない場合や、途中で治療を断念してしまう場合が多いのも、現状です。
しかしそのような場合でも、ご本人さんが負担を感じずに治療を続けることができる点で、家族療法はとても有効です。
その代わり親御さん(配偶者さん)には、ご本人に対する接し方や会話の仕方を学んでいただいたり、普段の生活の中で実践していただく作業もあるため、負担がかかる事も確かです。
ご家族が接し方や会話を工夫することで、ご本人さんは徐々に普段の喋り方が変化してきます。
ご本人さんの喋り方の変化と、うつが治る事は、あまり結びつかないのではないか?
と思われる方も多くいらっしゃるかも知れません。
しかし、親御さん(配偶者さん)の関わりを上手に工夫することによって生み出される、ご本人さんの「喋る力」の向上は、心にとても大きな影響力をもたらします。
喋りに磨きがかかることにより、自信が生まれ、行動や思考が変化していきます。
それはやがて、ご自身が囚われ続けている「生き方の苦手パターン」から抜け出すことにつながっていくのです。
「苦手パターン」から抜け出すことは、うつをきれいに治すための大切な一歩となります。
“家族”というとても身近な人との関りの中に、うつの解決への大きな糸口があります。
家族とは、一見単純そうに見えますが、実はとても複雑なものです。関わり方を間違えてしまえばマイナスになることもありますし、上手に関わることができれば、とてもプラスに働きます。
治療がうまくいくご家族・うまくいかないご家族
当センターの家族療法が、残念ながらすべてのご家族に合うというわけではありません。
「うちはどうかしら?」とご心配になられる方もいらっしゃるかと思いますが、
「治療がうまくいくご家族」の基準はとても簡潔なものです。
それは、「大事な人に、治ってほしい」という強い思いがあり、治療に協力していただけるご家族です。
過去には、「奥さんが夫に頼まれて、嫌々カウンセリングに来られている」「親御さんが他人任せ」そのようなご家族にもカウンセリングに来ていただいたのですが、あまり良い結果が得られないこともありました。
※もちろん、カウンセリングの途中で良い方向に変わっていかれ、治療が成功したご家族もたくさんおられます。
一方で、「大切な人の明るい笑顔が見たい」「なんとしてでも治してあげたい」
そんな思いを抱いてカウンセリングにやって来られるご家族は、治療の効果がとても上がりやすいです。
私たちは、ご家族を救ってあげたいという熱い思いを持っている親御さんや配偶者さんに出会い、全力でサポートしたいと考えています。
うつの年数にこだわらないで
勉強会に来られたご家族の方から、このようなご質問がありました。
「妻が5年ほどうつです。こんなに長く病気を患っているのに、家族の接し方で治るものですか?」
それに対し、所長の福田はこう答えました。
「うつの克服に、年数はあまり関係ありません。治療が軌道に乗れば、変化することができます。大事なのは、治療を始めて3か月くらいの手ごたえです」
治療が軌道に乗り、ある程度のところまで来たら、うつを治すことは難しい道ではありません。親御さん(配偶者さん)がもっとも労力を使い、頑張らなければならないのは、治療を始めた最初の3か月だと言います。この3か月を乗り越えることが出来れば、うつの年数にこだわる必要はありません。
最後に・・・
「あなたはわたしの声を奪う」
所長福田のお話の中で、印象的だった言葉です。
家族療法の巨匠S・ミニューチンの言葉だそうで、
子どもが何か喋ろうとしても、親御さんに全くその気はないのに、親御さんが喋る意欲を奪ってしまう・かき消してしまうパターン…
良くない会話のパターンの親子…そんな意味が含まれています。
しかしミニューチンは、そのようなことも親御さんのちょっとした工夫で変えていくことができると考えているのです。
人間は喋る事で、気持ちを整理している部分がありますし、喋らなければ難しいこともたくさんあります。
「何を喋れば良いかわからない」「何を言いたいかわからない」そのような気持ちを抱えて生きるより、「あれも喋りたい」「これを伝えたい」こんな風にイキイキと生きるほうが、楽しそうですよね。
喋るということは、うつを含むあらゆる心の病気をを克服する上で、また生きる上で、とても大切な事なのだと感じました。
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