<不登校と新型コロナの影響>
ついこの間ニュースでも報道されていましたが、文部科学省の調査によると、全国の小中学校で2021年度に不登校だった児童生徒数は24万4940人に上り、過去最多となったようです。前年度と比べても、2割以上増加したとのことでした。
その理由の一つとして、やはり新型コロナ感染症の影響が大きいとされています。昨年度は感染拡大を食い止めるために、自粛生活を余儀なくされ、休校も多くあり、子どもたちの生活リズムは崩れやすくなりました。また、他者との接触を極力避けるように言われ、学校行事の中止も相次ぎ、給食は黙食で行うようになるなど、今までの学校生活とは大きく異なってしまいました。そのような状況では交友関係も築きづらくなり、多くの子どもたちの登校意欲は低下してしまい、不登校が急増したのではないかと考えられています。
<変わってきた不登校の捉え方>
実は、不登校の児童生徒数は毎年増加し続けています。新型コロナがない時も、ずっと増え続けてきました。そういった状況の中で、不登校の捉え方も大きく変わってきています。
つまり、不登校をいわば特殊な状態、大変な状態だと捉えていた昔と比べ、不登校ってそこまで珍しいことではないよね、と社会が認識し始めているのです。不登校になる生徒がクラスに一人くらいいてもおかしくない、と学校側も思い始めていますし、医療や保健福祉の現場でもそう捉えつつあるようです。
<もう再登校は考えなくてもいい?>
先日、当センターにお子さんの不登校についてご相談くださった親御さんがおっしゃっていました。
「病院に息子を連れて行ったら、ドクターに『お母さん、今は学校なんて行かなくても大丈夫ですよ。オンラインの授業でも何でもありますし』と言われたんです。それを聞いた息子は安心していましたが、私はこのままでいいのだろうかと疑問に思っていて・・・」
たしかに昔と比べると、不登校の子どもたちの為の居場所や教育システムは格段に充実しています。家から通えるところにフリースクールがあったり、不登校児が集える居場所を作ってくれていたりします。授業もオンライン形式のものがあったり、自宅学習の教材もたくさんあったりして、学校に行かなくても、学習面での遅れを取り戻すことも容易かもしれません。
<不登校の子どもたちにとって大事なこと>
でも本当に、居場所があったり、家で勉強できたりするなら、不登校は問題ではないのでしょうか?私は不登校の子どもたちにとって、居場所も大事、勉強も大事だと思います。
しかし、それにプラスして大事なのは、転んだ時に自分で立ち上がる方法を身につけることだと思っています。転んだ時は、こうやって立ち上がればいいんだと分かる。そして自分でその方法を身につける。これが不登校になった時に大事なことです。まだ立ち上がり方を知らない子どもたちはたくさんいるのです。
子どもたちの人生は、この先もまだまだ長く続きます。もう絶対転ばないように転ばないようにと、ずっと親がサポートし続けるのはほぼ不可能です。転んだらダメなんじゃない。転んだらどう立ち上がればいいのか分かっていれば、社会で色んな困難にぶつかって転んでも、また再び自分で歩き出せるのです。
<こころは強くなっていく>
そして分かりづらい喩えかもしれませんが、身体の傷で思い浮かべてください。転んだ時にできた傷はやがてカサブタになり、カサブタがとれた後の皮膚は、他のところより少し硬くなりますよね。これは『こころ』でも同じではないかと、私は思っています。転んだ時は痛いけれど、カサブタがとれた後は少し硬く、そして強くなっている。たくさん転べば、硬く強くなるところも増えていきます。だから何度転んだっていいんです。そうやって強い『こころ』を作っていけたら、「わたしなら転んでもまた立ち上がれるわ」と自分自身を信じてあげられることができる。そう思っています。
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