最近の研究では
背中スイッチとは、子どもが赤ちゃんの時期に抱っこによって眠りについていたのに、布団に降ろすと泣き出してしまうことを指します。これは、赤ちゃんの背中が布団につくことで背中スイッチが入り、泣き出してしまうと考えられているものですが、最近の研究ではスイッチは背中ではなくお腹にあるのではないかという考えが強くなってきています。
この考えの根拠となっている実験がありますので、以下に紹介します。
- 赤ちゃんを抱っこしたまま5分程度歩いて眠らせて、布団に降ろす前に抱っこしている人が椅子などに座って5分~8分程度待ちます。
- 赤ちゃんがより深く眠ったタイミングで布団に降ろすと、そのまま癇癪を起こさず眠ってくれる場合が多く見られました。
上記の結果より、赤ちゃんが泣きだすのは、背中が布団につくからではなく、赤ちゃんのお腹が抱っこされている人のお腹から離れ始めたのを感じ取って泣くのではないかということが判明されてきました。最近では赤ちゃんを布団に寝かせる時は、抱っこしている人と赤ちゃんのお腹を密着させながら降ろすことを心がけると効果的だと言われています。
福田の発見
当センター所長の福田も、子どもの寝つきが悪くて苦労している妻をサポートした経験が何回もあります。立って抱っこしていると寝てくれる場合はよくあるのですが、すやすや寝てくれたかな?と思い、できるだけそーっと布団の上におろすと、ギャーっとまた泣き出すのです。色々工夫しましたが、なかなかうまくいきません。いくらそーっとおろしてもダメなのです。
視点を変えて、抱っこから布団への変化を子どもにあまり感じさせないようにする方法はないかと考えました。色々試したのですが、子どもが寝入ったあと、少し揺すりながら、その揺することに慣れてきた状況のなかで、布団にポンっと乗せます。するとなんと!百発百中、赤ちゃんは何事もなかったかのようにそのまま寝てくれるのです。変化を異常と思わせないことが大事だったのですね。
2023.05.17 著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》福田俊一
記事内容の監修医師
淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一
- 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
- 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
- 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
- その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
- 著書多数。
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