伊丹市中央公民館スワンホールにて
2024年1月27日(土)伊丹市中央公民館(スワンホール)にて、ゲーム依存の講演会を行いました。お子さんのゲーム依存でお困りの親御さん、是非お読みになってみてください。
目次
出典:スワンホール(労働福祉会館・中央公民館・青少年センター・市民まちづくりプラザ)
実際にHPで告知されたチラシ
出典:https://nem-shiteikanri.jp/shisetsu/itami/event/
1.講演会で重視したこと
今回の講演会で私が重視したのは、とにかく親御さんたちによく喋ってもらおうということです。
講演会を受け身で聞いていると、講演会に行ったということは覚えていても一か月後には、どんな内容だったのかなと忘れてしまいがちです。
そのために親御さん達に、たくさん発言してもらうことを意識しました。
そのためにどうしたか?
冒頭では「みなさん安心してください。今日の講演会では親御さん達に質問します、ぜひ間違ってください。正解を気にせず間違ってくださるくらいの方が私はありがたいんです」とお伝えしました。お母さんお父さんたちの表情も少しホッとした顔にゆるんだような気がしました。
2.ゲームやスマホをやめられないお子さんにどう対応されているか?
親御さん同士でのディスカッション
会場には5つのテーブル。
まずは講演会の冒頭、テーブル毎に、各ご家庭で、なかなかゲームやスマホをやめれないお子さんにどういう対応されてるか話し合っていただきました。
親御さんたちは皆さん初対面です。
活発に議論をしてもらうために、まずは自己紹介。
「ご自分のお名前、お子さんの年齢、そして親御さんの趣味(笑)を言ってください」
皆さんの自己紹介の声が、ガヤガヤと会場にひびきます。
3.ゲーム依存のお子さんに対する一般的な対処方法は?
講演会の前半部分は、私、臨床心理士福田俊介が担当しました。
まず多くの専門家が取り上げている一般的な対応方法について簡単にご説明しました。
これらはすでに多くの親御さんもご存知だと思いますが、ルールを作る、その際しっかりと親子で話し合う。
また、ゲーム機を取り上げるという方法もあるが、余計ややこしくなる場合もあるので、慎重な判断が必要だという事。
ゲーム以外の他の楽しいことにも興味を持てるように働きかけるなどのお話もしました。やはりこれらの対応はすでにやっておられる親御さんも多いようでした。
4.ゲーム依存が重症化したケースの発表
次に重症化した事例を2本発表しました。
重症化した事例では、一般的な対応方法ではうまくいきません。
ストーリーでお話しすることにより、お子さんと関わる上で何が大事かをお伝えしました。
また事例では、親御さんがどのような対応をしたか?だけに注目するのではなく、事例の中で、親御さんの精神状態がどのように変化していくのか?
そこにも注意して事例を見ていただくようにしました。
このように伝えることで、お子さんへの対応の仕方だけではなく親御さんの精神状態も重要であるということを知っておいていただきたかったのです。
5.休憩時間での親御さんたちの様子
前半の私の部分が終了し、10分間の休憩に入りました。
初対面であろう親御さんたちが、昔からの知り合いのように各テーブル毎に賑やかにお話しされているのです。これを私はとても嬉しく思いました。
6.精神科医師・所長福田俊一によるゲーム依存のお子さんに対する見解
後半が精神科医師・所長 福田俊一による Q&A です。
まず冒頭に福田はこのように話しました。
ゲーム依存の子は、必死で親の目を欺く 。
親が wi-fi を切ったのに、自分でその wi-fi のパスワードを入力して解除したり、ゲームをするためにはものすごい能力を発揮する。
私はこのハマる力を抑えるのはとてももったいないと思います。
ゲームにハマる力を抑えて、他の健全なものにその力を向かわせるんだという理論は美しく聞こえますが、実際問題それはかなり難しいのです。
また、ゲーム依存になるぐらい熱中するエネルギーを持っていた子が、ゲームをしなくなり、気力のない子になってしまったらつまらないのです。
とにかく、これほどまでにゲームにはまる、このハマるという力を伸ばしながらゲーム依存を解決したいと熱く語りました。
7.精神科医師・所長福田俊一によるゲーム依存についてのQ&A
また、「これから Q&A です・・・特にご質問がなかったら、わたし喋り続けますよ」と言うとどっと笑いが起こりQ&Aのコーナーがスタートしました。
ゲームは制限しない方がいい?
Q1:重症化の事例では制限しない方がいいということだったが、制限しない方がいいのでしょうか。
A1:もし現在制限することが有効に働いているんだったら、制限しておいていいと思います。
ただし、年齢とともに制限ではうまくいかなくなってくる可能性が高いです。
そのため、制限するだけではなく自己コントロールを伸ばす手も打っておいた方が良いのです。
自己コントロール力を伸ばすために一番効果的なのは、考えの自主性、能動性を伸ばすことです。
ゲームのルールを守れない息子について。
Q2:うちの息子は頑固で理屈っぽいし、話し合ってルールを決めてもルールを破ってしまうのですが?
A2:そこを直接解決するのは難しい。間接的だと思われるかもしれませんが、子どもの自主性を伸ばすようなことは、自己コントロール力を伸ばすこととつながるのです。根気と工夫が入りますが、親子の会話を通じてお子さんを伸ばすことができます。
親子の会話がしっかりと伸びていれば、その後ややこしい道に入って行きにくくなるのです。
最近、相談に来たある小学生の男の子は、ゲーム以外だとなぜか競馬にとても興味があり、競馬の話はよくします。
ところが親御さんとしては、小学生の子供にギャンブルに興味は持たれたら困ると思うので、競馬の話はあまり聞きたくないわけです。
しかし、お子さんの会話にすごく集中して耳を傾けてみると、彼は競馬の話をするときにとても頭の回転が良くなっていることがわかりました。
親御さんとしては避けたい話題かもしれませんが、そのケースでは競馬の話題を止めないようにしました。
その方が自分で考える力が育つと判断したからです。
無口な子との会話をどうしたらいい?
Q3:親子の会話が大事だとわかったが、うちの子は昔から無口なんです。どうしたらいいでしょうか?
A3:無口な子にも実は喋りたいという面は間違いなくあります。
大抵無口な子というのは、親子の会話のテンポが違う、お母さんの方がテンポが早いのです。
子供がしゃべろうとした時に、お母さんの無意識な発言が、子どもの発言に蓋をしてるということがあります。
その辺を微調整していけば、自分の興味のあることではスイッチが入ってよく喋り出すなんていうことはあります。
ただし、親御さんの工夫と根気が必要なのは間違いありません。自主性を育てるということはとても根気のいる事なのです。しかし、もし成功すればとてもとても大きな成果に繋がるでしょう。
ゲームに振り回されなくなるだけでなく、人生にも積極的になれるのです。
8.最後に 臨床心理士 福田俊介より
子どもがゲーム依存でお困りの親御さんは、「こんなにしんどいのはうちだけなのかな」と、孤独を感じておられる方も多いと思います。
今回講演依頼をいただいた伊丹市中央公民館の方々からは、各テーブル毎で仲良く交流できるようにして欲しいとのことでした。
グループディスカッションの盛り上がりや、休憩時間中の様子を見る限り、親御さんたちは、仲良く交流できているようでした。
「こんなに悩んでいるのは私だけじゃないんだ」と少し安心された親御さんもおられる事でしょう。
また、後日アンケートの一部を見せていただきました。
それによると、我々が特に伝えたかった部分が多くの参加者の方に伝わっているようでした。これは嬉しく思いました。
さて、残念ながら軽度ではないゲーム依存を一瞬で解決する魔法の言葉はありません。しかし、数週間、数ヶ月と続けていくと、ゲーム依存解決に効果を発揮する方法はあります。
是非、この講演会で学んだことを続け、成果を出していただければうれしいです。
最後に、講演会にお招きくださった伊丹市中央公民館の橋本さん、久野さん、そして館長の池田さん、貴重な機会をいただき本当にありがとうございました。
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