2024年5月27日(月)、淀屋橋心理療法センターにて、「不登校のお子さんを持つ親御さんのためのカウンセリング説明会」を開催しました。
説明会でカウンセラーがお伝えした内容の中から、「不登校をどう捉えるか?」ということや、「不登校の原因と解決のゴール」など、不登校に悩む親御さんに向けて、問題解決のヒントになる内容をいくつかご紹介します。
目次
不登校をどう捉えるか
不登校の子どもへの接し方のポイント
今回の「不登校のお子さんを持つ親御さんのためのカウンセリング説明会」では、当センターの臨床心理士・福田俊介から、不登校の子どもに接する時の大事なポイントを二つお伝えしました。
- 子どもへの声の掛け方、話の聴き方
- 親の精神状態
一つ目の「声のかけ方、話の聴き方」は意識して身につけることができる、いわば技術的なものです。
しかし、二つ目の「親の精神状態」については、親御さん自身が自分ではよくわからない、または安定した精神状態が保てないという場合もあるようです。
登校か不登校かで一喜一憂
子どもが学校に行けないというのは、親からすると不安で、もどかしいことだと思います。
「今日は学校に行く」と言って、きちんと制服を着て髪を整え、登校する準備をしていたのに、いざ家を出る直前になって「やっぱり行けない」…ということも。そんな時はさぞかしガッカリしたり、イライラしたりしてしまうことでしょう。
カウンセリング説明会に参加された親御さんの中でも、「学校に行ってくれたら、自分の用事が済ませられるのに…」「今日は登校してほしいと思った日に限って行ってくれない…」と本音を漏らされる方もおられました。親御さんにもご自分の都合や予定がありますから、お子さんが学校に行くか行かないかで一喜一憂してしまうのは当然のことかもしれません。
しかし、学校に行ってくれないことへの落胆や苛立ちを態度に出さないようにしていても、子どもさんには敏感に伝わってしまうようです。親御さんの余裕のない精神状態は、子どもさんの精神状態にも影響しやすいのです。
不登校は子どもが成⻑するチャンス
カウンセリング説明会では、カウンセラーから「人はしんどい経験をしてこそ成長することができる。不登校は子どもを成長させるチャンスだ」という話をお伝えしました。
「早く子どもが学校に行けるようになってほしい」と考えるのは親として当然のことかもしれません。しかし、不登校の時期を無駄な時間だと考えるか、子どもを成長させるための時間だと考えるか。親の捉え方で、不登校の持つ意味は大きく違ってくるのではないでしょうか。
不登校で子どもが家にいる時間が増えるということは、親子の接点が増えるということでもあるのです。この期間に親が、冒頭に挙げた二つのポイント「声の掛け方、話の聴き方」を身につけ、余裕のある「精神状態」で対応することで、子どもが成長する機会へとつながるのです。
不登校の原因と解決のゴール
不登校の原因がわからない
そもそも子どもが不登校になる原因はなんなのでしょうか?
学校の友達や先生とうまくいかない・勉強が難しくてついていけないなど、理由がはっきりしていることもありますが、そうでない場合も多いようです。
学校で特に大きなトラブルはないのに、学校に行こうとすると具合が悪くなってしまい、足が動かない。
漠然とした不安や無気力感、さらに学校を休むことで感じる、焦りや後ろめたさ…。
なぜ学校に行けなくなってしまったのか、本人にも原因がわからない、言葉で説明することができない。これは、まだ子どもの成長が足りず、問題に立ち向かい困難を乗り越える力がついていないためかもしれません。
不登校の問題解決のゴールは?
では、不登校の問題解決のゴールはどこにあるのでしょう。
学校に行き始めたら、それだけで良いのでしょうか?
表面的には解決したように見えても、根本的な部分で成長が足りていなければ、次の困難にぶつかった時、また不登校の状態になってしまうかもしれません。
淀屋橋心理療法センターでは、不登校の問題を解決するには、子どもが成長し、自らの足で立ち上がり困難を乗り越える力をつけることが重要だと考えています。
親との関わりの中で、子どもの成長を促してあげることで、本当の問題と解決のゴールが見えてくるでしょう。
不登校を親子で成⻑する機会に
子どもの成⻑とは何か
当センターでは「子どもの成長」について、具体的に次のように考えています。
1.自主性・能動性・内から湧き上がる活力
人に「やりなさい」と言われて受動的に行うことは、追い詰められるような気持ちになり、うまくいかないことがあります。一方、自分の内側から「やりたい!」と思って自主的・能動的に行うことは、気分が乗ってうまくいくことが多いです。たとえうまくいかなくても、自分が決めて行動した結果なので、後悔よりも満足感が大きく、良い経験として蓄積され、自信や次に向かう活力へとつながっていきます。
2.人に相談する力・困難を乗り越える力
人間は何かに悩んでいる時、そのことばかりに頭の中を支配され、考え方が偏り視野が狭くなってしまうことがあります。そんな時、誰かに相談することで平静さを取り戻すことができます。頭の中が整理されることで、新しい選択肢に気づけたり、孤独感から解放されて気持ちが軽くなったりします。
人に相談するということのメリットは、相手からアドバイスをもらうことだけではありません。人に話すことで視野が広がり、自分自身がどう困難に対処するべきかに気づけるという効果が大きいのではないでしょうか。
子どもの成⻑に欠かせない親子の会話
これらの力を伸ばし子どもを成長させるには、親子の会話が重要ですが、コツをつかむのは容易ではありません。
子どもが機嫌良く話せる会話のパターンを見つけ、子どものペースで話をさせてあげる。
普段からこうした会話を積み重ねることで、子どもは自分に自信を持ち、いきいきと前向きになることができます。
ただし、不登校を乗り越えるほどの力をつけるには、専門家のサポートが必要なこともあります。
また、子どもが成長するには、親も関わり方を学び、一緒に成長することが必要かもしれません。
親の価値観で接するのではなく、子どもは自分とは別の人間であると認めること。子どものありのままの性格を受け入れ、良いところに目を向けること。
こうした親の関わりと見守りのもとで、子どもは安心して自分の人生を生きることができるのです。
カウンセリングで不登校を解決
カウンセリングには子どもの来所不要
親子の会話が大切だとわかっても、すぐにコツをつかむのは難しいかもしれません。
淀屋橋心理療法センターでは、基本的に子どもさんの来所は不要です。親御さんとのカウンセリングの中でアドバイスをしながら、子どもさんへの接し方を身につけていただきます。
親御さんはカウンセリングを継続する中で、日頃の接し方を客観的に振り返ることができ、ご自身が持つ価値観や対応の癖に気づいていかれます。また、起こった出来事を整理したり、お子さんの良いところや小さな変化に気づいたりする機会にもなります。
カウンセリングによって親も楽になる
親御さんの声の掛け方・話の聴き方が変わると、それを映し、お子さんの態度にも良い変化が現れます。
お子さんが変化すると親御さんの気持ちにも余裕が出てきます。親御さんが余裕を持って接することで、さらにお子さんの状態も良くなっていきます。こうした親子の相互作用によって良いスパイラルが生じ、不登校の問題が解決に向かっていくのです。
「カウンセリングで自分自身が楽になった」という親御さんも少なくありません。
子どもの成長には人に相談する力・困難を乗り越える力が必要であると前述しましたが、これは親御さんにも言えることです。カウンセラーに相談することによって、親御さんの人生もいきいきとしたものになっていく。それが子どもさんのためにもなるのです。
不登校解決のゴールに向けて
文部科学省の発表では、令和4年度の小・中学校における不登校児童生徒の人数は、299,048人。
不登校は決して珍しくはないという時代です。
また、不登校になる理由は、いじめや学業不振など目に見える原因があるケースよりも、本人の無気力や不安といった漠然とした理由であることが圧倒的に多く、解決が困難なケースが増えています。
親御さんの中には、「昭和の価値観で育った自分には学校に行かないという選択肢はなかった。正直、不登校というものが理解できない」という方もおられるでしょう。
しかし不登校はあくまでも「状態」です。子どもさんが抱える問題の表れ方の一つであり、学校に行けないこと自体が本当の問題ではないのかもしれません。
「学校に行くか行かないか」という部分にばかり目を向けていると、親御さんも子どもさんも苦しくなるばかり。
本当の問題は何なのか、本当のゴールはどこにあるのか。それを考えてみませんか?
不登校カウンセリング説明会のご案内
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