子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪の原因と効果的な対応発達障害との関係性は?相談先一覧紹介

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪の原因と効果的な対応発達障害との関係性は?相談先一覧紹介

「子どもが急に大声をあげ、なかなか泣き止んでくれない」など、子どもの癇癪で悩んでいるお母さんやお父さんは数多くいることでしょう。子どもの癇癪は予想しづらく、対応が分からない場合もめずらしくありません。この記事では、子どもの癇癪の原因や対応のしかた、相談先などを紹介します。

目次

癇癪とは?

癇癪とは?:カウンセリング(子どもの癇癪)

癇癪(かんしゃく)とは、子どもが急に火がついたように泣き出したり、奇声をあげながら怒ったりといった状態のことを指します。お母さんやお父さんからすると手を焼く行為の1つになりますが、子どもが癇癪を起すのにはそれ相応の理由があるのです。特に癇癪は、”子どもが自分の気持ちを上手く表現できないときに生じやすい”とされています。

もちろん、癇癪には個人差があり、すべての子どもに起こるわけではありませんし、兄弟姉妹間でも異なると言えるでしょう。しかし、癇癪を持つ子どもの具体的な行動には以下のような共通点があります。

  • 急に大声を出し、泣き叫ぶ
  • 周りの人に物を投げたり、叩いたりなどの暴力を振るう
  • 自分の身体を壁などに打ち付ける
  • なだめても、手が付けられないほど暴れる など

なぜ癇癪を起こすのか?精神科医師・福田俊一

カウンセラーが教える子どもの心:癇癪が強い子どう対応する?:カウンセリング(子どもの癇癪)

出典:淀屋橋心理療法センターInstagram

“親御さんによくお伝えしている理由なのですが、一般的に癇癪を起こしやすい子とそうでない子がいます。

幼い頃からそういう傾向が見えはじめ、幼児期にははっきりとしてくる子も多くいらっしゃいます。そのお子さんの生まれながらの持ち味(性格)がとても関係しているのではないかと思います。

しかし、その癇癪に対して、「対応方法が分からない」、「子どもの性格を上手くつかめていない」そういった親御さんではお子さんの癇癪を増幅させてしてしまうこともあるようです。

癇癪をゼロにすることは、なかなか難しいことでしょう。癇癪持ちのお子さんの特徴を受け入れつつ、その子に合った方法を見つけ出し、親御さんが上手く対応していくことが必要になります。”

精神科医師・福田俊一

子どもの癇癪の特徴【年齢別】

子どもの癇癪の特徴は、年齢によって表に現われる状態が異なります。また、癇癪を起こしている心理状態や生まれ持った性格にも差が生じます。

乳児期(0歳~1歳)の癇癪

乳児期(0歳~1歳)の癇癪:カウンセリング(子どもの癇癪)

この時期の子どもは、言葉で自分の感情や状況を伝えることができません。そのため、基本的に癇癪を起こす時は、生理的な刺激や不快による反応が多いとされています。例えば、お腹がすいてミルクが飲みたかったり、おむつを替えて欲しくて癇癪を起こしたりします。また、眠たいのに眠れない、寝ぐずりもこの時期の子どもの癇癪では良く見られる光景です。

癇癪は、大人から見ると対処に困る行動と捉えられますが、この時期の子どもの癇癪は、今後のコミュニケーション方法を学んでいく上で欠かせない行動の1つです。自分が癇癪を起こし、それに対してお母さんやお父さんが対応してくれたことをもとに、コミュニケーションを学んでいくのです。

1歳からの癇癪

1歳からの癇癪:カウンセリング(子どもの癇癪)

1歳からの癇癪は、主にコミュニケーションのための癇癪だと言えます。1歳になる頃には、子どもにもしっかりとした感情が芽生え始め、お母さんやお父さんの意向とは異なることをしたいと自覚できるようになります。その中で、自分の不快な感情や不満を癇癪で伝えようとするのです。

しかし、自分が思っているような行動をお母さんやお父さんがしてくれないなど、思い通りにならないことを学ぶ時期でもあります。

イヤイヤ期(2歳~3歳)の癇癪

イヤイヤ期(2歳~3歳)の癇癪:カウンセリング(子どもの癇癪)

イヤイヤ期と呼ばれる2歳〜3歳の子どもは簡単な単語を話せるようになり、行動と共に言葉でのコミュニケーションも増えます。このような中で、まわりの人との関係性において自分にとって不都合なことが発生すると、その苦痛を言葉と癇癪という行動で表現するようになるのです。例えば、物を投げたりジタバタしながら「いや!」という言葉を繰り返したりします。

また、この時期の癇癪はただ興奮して怒るのではなく、「自分はこうしたい」という意志を主張するためのものでもあります。自分の目的を達成するための手段として、癇癪を起こすケースが多くなるでしょう。

幼稚園・小学生の癇癪

幼稚園・小学生の癇癪:カウンセリング(子どもの癇癪)

基本的に、癇癪は赤ちゃんや幼児期に多く見られ、しだいに少なくなってくる傾向があります。しかし、4歳〜7歳になっても癇癪がおさまらないケースも存在します。このような場合は、他の子どもよりも自我が強いことが考えられますが、発達障害の可能性もあります。

そのため、小学生になっても癇癪がおさまらず、あまりにも主張が激しすぎるような場合は、早めに専門家へ相談するようにしてください。

思春期の癇癪

思春期の癇癪:カウンセリング(子どもの癇癪)

思春期の癇癪では、子どもなりに「困っている」「助けてほしい」というサインを癇癪として伝えているケースが考えられます。この頃の子どもは、複雑な人間関係の中で毎日を過ごしているため、どうして良いか分からずに怒りのような癇癪が表面化している可能性があります。つまり、さまざまな感情が入り混じり、癇癪に繋がっている場合が多いでしょう。

癇癪と発達障害の関連性は?

癇癪と発達障害の関連性は?:カウンセリング(子どもの癇癪)

子どもが度々癇癪を起こすと、「もしかしたら発達障害なのではないか?」と心配になるお母さんやお父さんもいるでしょう。確かに、癇癪には発達障害の特徴と似ている部分もありますが、必ずしも発達障害であるとは限りません。

ただし、ASD(自閉症スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動性症)の特徴と癇癪のきっかけが絡み合っているケースも存在します。つまり、完全に関係ないとは言い切れないため、専門家の判断が重要となるのです。

こだわりが強い

こだわりが強い:カウンセリング(子どもの癇癪)

ASD(自閉症スペクトラム症)の子どもは、刺激に敏感な傾向があり、一般的には気にならないような音や刺激に対して敏感に反応し、癇癪を起こしてしまうケースがあります。

さらに、その敏感さはこだわりの強さにも繋がっています。例えば、自分の思う通りに物事が進まなかったり、予定していたことが急に変更になったりすると、途端にパニックになり癇癪を起こすことがあるのです。

自分の気持ちを相手に伝えるのが難しい

自分の気持ちを相手に伝えるのが難しい:カウンセリング(子どもの癇癪)

発達障害の中には、言葉の意味は理解しているけれど、その時感じた自分の感情を言葉にして相手に伝えるのが難しい「発達のアンバランス」を持ち合わせています。うまく伝わらないことに対してもどかしさを感じ、癇癪を起こしてしまうケースもあるでしょう。

他者の気持ちを自分に置き換えて考えることが苦手

他者の気持ちを自分に置き換えて考えることが苦手:カウンセリング(子どもの癇癪)

例えば、ASD(自閉症スペクトラム症)の子どもは、相手の気持ちや意図を汲み取って理解することが困難で、強いこだわりも相まって相手に合わせるのが苦手です。

また、ADHD(注意欠陥多動症)の子どもは、相手の気持ちを尊重して譲ることが難しく衝動的に行動してしまうため、他者の気持ちを考えた行動をするのができない傾向にあります。

上記の2つの特徴により、他者との関係性において不協和が生じた際、突然癇癪を起こしてしまう場合があると言えます。

自分でも気持ちのコントロールが難しい

自分でも気持ちのコントロールが難しい:カウンセリング(子どもの癇癪)

先ほども触れましたが、発達障害の子どもは衝動性を抑えることが困難です。また、沸き起こった感情をコントロールし、相手に合わせるのに苦手意識を持っています。

そのため、相手に合わせなければならない状況に置かれ続けるとストレスが溜まり、突然癇癪となって表面化してしまうケースがあるのです。

子どもが癇癪を起こした時の対応法

子どもが癇癪を起こした時の対応法:カウンセリング(子どもの癇癪)

突然子どもが癇癪を起こして興奮した様子を見ると、お母さんやお父さんもパニックになってしまうかもしれません。しかし、しっかりと対処法を覚えておけば、慌てずに子どもと向き合うことができるので、ぜひ参考にしてみてください。

子どもの安全を確保する

子どもの安全を確保する:カウンセリング(子どもの癇癪)

子どもは、癇癪が起きると周囲の状況を正確に把握することが難しくなります。そのため、まず何よりも危険な場所や物からは離れさせ、ケガをしないようにするのが重要です。

キッチンでは包丁などがありますし、火の元の近くでは思わぬ事故に繋がる危険性もあります。転んでもケガをしないような広い空間・安全な場所に子どもを移動させるようにしましょう。

刺激しないようにする

刺激しないようにする:カウンセリング(子どもの癇癪)

癇癪が起きるのは、子どもが何らかの不満や不安を感じている時です。そのような際に、お母さんやお父さんが不用意に子どもを追い詰めるような声掛けをしてしまうと、癇癪がさらに悪化する可能性があるので注意が必要です。

また、子どもが嫌いな香りや場所からは遠ざけて、興奮状態ができるだけ早く落ち着ける環境に整えてあげましょう。一番興奮している時には、声掛けは最小限にして、落ち着くまで見守る姿勢も大切です。

落ち着くのを待つ

落ち着くのを待つ:カウンセリング(子どもの癇癪)

癇癪が起きても、何時間も同じ興奮状態が続くことはありません。ある程度の時間が経てば自然と落ち着いてくるので、癇癪が起きている間は周りに危険がないのを確認しながら、お母さんやお父さんは他の物事に意識を向けて、普通に過ごすようにしましょう。そうすることで、子どもの興奮も徐々に落ち着いてきます。

落ち着いたら褒めてあげる

落ち着いたら褒めてあげる:カウンセリング(子どもの癇癪)

癇癪が起きている時は、子どもは興奮状態です。しかし、落ち着きを取り戻し冷静になったタイミングで抱きしめたり、「えらかったね」と思いっきり褒めてあげたりすると子どもは安心します。これを繰り返し行うと、だんだんと子どもも落ち着いた時の満足感などを学び、癇癪の予防にも繋がります。

基本的に子どもは親からの愛情を感じると、それだけで安心するものです。癇癪を起こしてしまっても、落ち着けば褒めてもらえると覚えれば、必要以上に癇癪を起こすことが少なくなり、徐々に改善する可能性も高くなります。

癇癪を前もって予防する方法は?

癇癪を前もって予防する方法は?:カウンセリング(子どもの癇癪)

一般的に、癇癪を前もって予防する方法は3つあります。この方法を知っておくだけで、お母さんやお父さんの選択肢が広がるでしょう。

見通しを立てる

見通しを立てる:カウンセリング(子どもの癇癪)

幼少期の子どもは好きなことに夢中になりやすく、それを途中で遮られたり、楽しみにしていた予定が急に変更になったりすると、自分の中でなかなか納得できず癇癪を起こしてしまうケースがあります。そのため、スケジュールボードやタイマーなどを使用して、視覚的にも聴覚的にも分かりやすい予定を伝えれば、子どもも納得でき、癇癪の予防ができるようになるでしょう。

また、その際に「○○をしたら、これをやろうね」というように、次の行動を予測できる声掛けをするのも効果的です。

気持ちを伝えるツールを活用する

気持ちを伝えるツールを活用する:カウンセリング(子どもの癇癪)

子どもは、言葉で説明されるよりも、視覚的に捉えた方が納得しやすい・理解しやすいという特徴があります。そのため、言葉で伝えられてもすぐに理解することが難しいケースもあり、理解していないからこそ不和が起こった時に、癇癪に繋がってしまうことがあるのです。

それを踏まえて、子どもが直感的に分かりやすい絵カードやコミュニケーションアプリなどのツールを活用し、その時の感情を視覚的に理解しやすい形で伝えると、パニックにならずに癇癪の予防が可能です。キャラクターの表情や絵全体から、気持ちを理解できるようになるので、子どもも不安を感じずに過ごすことができます。

言葉で伝える練習をする

言葉で伝える練習をする:カウンセリング(子どもの癇癪)

一定の年齢になった子どもの場合、親だけではなくまわりの人とも良好な関係性を築くために、言葉での意思疎通が必要不可欠となってきます。言葉での意思疎通が上手くいかないと、それだけで他者との間で不和が生じやすくなり、癇癪を起こしやすい状況を作り出す可能性が高くなるのです。

そのため、言葉で物事を伝えられる年齢になった子どもには、定期的に単語カードなどを活用しながら、喜怒哀楽の感情を言葉で伝える練習を行うことで、癇癪を未然に防げるようになるでしょう。

避けるべき癇癪を悪化させる対応

避けるべき癇癪を悪化させる対応:カウンセリング(子どもの癇癪)

お母さんやお父さんが、無意識に行なっている言動によって、癇癪が悪化してしまうケースもあります。以下の対応に当てはまっている場合は、できるだけこのような行動は避けるようにしましょう。

親も感情的になる

一番避けるべき癇癪を悪化させる対応は、親も感情的になることです。子どもの癇癪は、不安や不快な感情があってそれをまわりに伝える手段として起こしています。そのため、癇癪を起こした時に、本来安心できる場所であるお母さんやお父さんが一緒になって感情的になっているのを見ると、子どもはさらに不安を感じて癇癪が悪化してしまうのです。

また、子どもを突き放すような言動も避けた方が良いでしょう。突然起こる子どもの癇癪によって、お母さんやお父さんも疲れていると、どうしても「もういい!」と突き放してしまったりしますよね。しかし、このような態度も子どもの不安感を煽ってしまい、癇癪を悪化させる危険性があるので、注意が必要です。

子どもの興奮状態が続くと、いくら大人でも冷静な感情で見守るのは難しいかもしれません。しかし、できるだけ親は冷静さを失わずに、平常心で子どもと接することが大切です。

子どもの癇癪、早めに相談しよう

子どもの癇癪、早めに相談しよう:カウンセリング(子どもの癇癪)

子どもの癇癪は、お母さんやお父さんだけで対処しようとしても、難しいケースが多いです。そのような時は、迷わず相談できる場所を頼るようにしましょう。

相談先1. 保健センター

保健センターとは、各市区町村にある専門機関で、子どもが赤ちゃんの時には、発達に関する相談などで訪れる機会が多い場所でもあります。子どもが大きくなるにつれて、訪れる機会が減ってしまいますが、癇癪も含め発達に関する相談を聞いてもらえる専門機関なので、子どもの癇癪で悩んでいる時の相談先としては、非常におすすめです。

保健センターには、保健師をはじめ管理栄養士や理学療法士、看護師などが配置されており、場所によっては医師や心理発達相談員が配置されている所もあります。

相談先2. 子育て支援センター

子育て支援センターは、各市区町村の公共施設などを利用し、乳幼児を持つ母親の悩みを聞いて支援をしている場所です。

子育てに関する相談を受けて、必要な情報を提供したり、状況に応じて助言や支援をしたりします。子育てに関する知識と経験を有するスタッフが配置されているので、子どもの癇癪をはじめ子育てに悩んだ時に頼りになる専門機関です。

相談先3. 発達障害支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害児(者)への支援を総合的に行うことを目的としている専門的な機関です。都道府県・指定都市自ら・都道府県知事等が指定した、社会福祉法人や特定非営利活動法人等が運営しています。

発達障害児を持つ家庭が生活しやすいように、地域における総合的な支援ネットワークを構築し、家族からの相談に応じて指導や助言を行っています。地域によって事業内容が異なるので、利用する際には事前に確認しておくと安心です。

相談先4. 児童福祉課

児童福祉課は、各市区町村の役所に設置されている課で、発達障害などの相談を受け、地域の専門機関に繋げるサポートをしてくれます。どこの医療機関を利用したら良いのか分からない場合でも、適切に紹介してもらえます。

相談先5. 児童相談所

児童相談所は、18歳未満の子どもを対象とした児童福祉のための専門機関で、各都道府県に設置されています。ここでは、子どもの発達障害や子育てに関する相談ができます。児童福祉法に基づいて運営しており、全ての子どもが心身ともに健やかに育ち、子どもが持っている力を最大限に発揮できるような状態をサポートし、問題を解決する支援を行う専門機関です。

児童相談所には、児童福祉司・児童心理司、医師や保健師などの専門スタッフがおり、相談に乗ってくれます。

相談先6. 児童発達支援事業所・放課後等デイサービス

児童発達支援事業所は、就学前の子どもの特性や発達の遅れに対する支援をする機関です。日常生活の中で必要となる知識や動作、集団生活に馴染めるような適応訓練が行われます。

放課後等デイサービスは、小学生から高校生までの社会適応訓練を行う場所で、ここでも子どもの特性に合わせて悩みなどを聞いてもらえます。

相談先7. 医療機関

医療機関は、子どもが風邪をひいた時などに通う場所というイメージが強いと思います。しかし、かかりつけの医療機関であれば、子どもの性格やこれまでの成長などを医師が把握しているので、発達障害に関する問題や癇癪についても相談すれば対応してもらえるでしょう。

他の医療機関への受診が必要な場合は、紹介状などを書いてもらえますし、カウンセリングなどに繋げてもらえるケースも多いです。

相談先8. 癇癪専門カウンセリングルーム

子どもの癇癪は、心理的な問題や環境が影響している場合が多いと言われています。そのため、癇癪専門カウンセリングルームを利用すれば、子どものみならず、家族もさまざまな心理療法を受けることが可能です。

特に、淀屋橋心理療法センターでは家族療法に精通した精神科医やカウンセラーが在籍し、専門性の高い支援を提供しています。

▶淀屋橋心理療法センターのHPはこちらをご覧ください。
【公式】淀屋橋心理療法センター|不登校・摂食障害・うつ 親御さんとの家族療法カウンセリング

淀屋橋心理療法センターの癇癪治療とは?

淀屋橋心理療法センターの癇癪治療とは?:カウンセリング(子どもの癇癪)

淀屋橋心理療法センターの癇癪治療においての特徴は、本人(子ども)は原則的に来所しなくても良いという点です。癇癪を起す子どもは敏感なため、見知らぬカウンセラーなどのスタッフと会うだけでも緊張し、信頼関係を築くまでには時間がかかる場合が多いでしょう。それよりも、子どもと毎日身近で接するお母さんやお父さんにアプローチする方が、子どもが成長できると考えています。

淀屋橋心理療法センターでは、お母さんやお父さんとスタッフが話し、子どもの性格や特性に合った対応や解決策のアドバイスを差し上げます。アドバイスを基に、お母さんやお父さんが子どもへの対応を工夫することで、しだいに子どもは癇癪以外の方法でコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

子どもとお母さんやお父さんのコミュニケーションが上手く進むと、親子での感情の共有が活発になり、家の外(学校など)からの不満も持ち帰りにくくなります。お母さんやお父さん自身がまず変わることで、癇癪だけではなく、子どもの成長も期待できるのです。

癇癪をカウンセリングで回復した事例紹介

癇癪をカウンセリングで回復した事例紹介:カウンセリング(子どもの癇癪)

淀屋橋心理療法センターでは、カウンセリングを行った子どもの癇癪の事例が数多くあります。カウンセリングの前と後の様子を、以下に紹介します。

カウンセリング前

カウンセリング前:カウンセリング(子どもの癇癪)

小学校低学年の女の子。元々は社交的でお母さんとお父さんが大好きでしたが、最近では癇癪を起こすようになりました。そのうち学校にも行かなくなり、自室にこもるように。

両親は甘やかしてはいけないと、癇癪時の子どもの要求には応えなかったり、話し合いを持とうとしたりしましたが、娘には気持ちが届きませんでした。

例えば、女の子は夜中に「チョコレートがほしい」と言い出し、両親が「今日は遅いから今度ね」と伝えても、「絶対ほしい!」と大声で泣き叫びます。両親は根負けし、夜中にコンビニまで買い物に行くことが日常茶飯事だったのです。両親は娘をかわいいと思えなくなり、癇癪に疲れ果てていました。

カウンセリング後

カウンセリング後:カウンセリング(子どもの癇癪)

カウンセリングを始めて5週間後、女の子に小さな変化が現れ始めました。夜中にお菓子を要求されたお母さん。拒否すると癇癪を起こすため仕方なく買ってくると、女の子から「ありがとう」と言われるようになりました。また、しだいにお菓子を要求する際も「○○を買ってきてくれない?」と丁寧な表現に。

一方、お父さんは娘の要求をすべて飲むのではなく、「今日は遅いから、お菓子は明日にしない?」と返すと、「じゃあ明日買ってきてね」と女の子も怒らずに答える日が増えてきたのです。

その後、女の子は両親との会話を楽しめるようになりました。両親はカウンセリングに通い始めてから、子どもの癇癪が出ても忍耐強く対応をしたことで、娘がかわいいと思えるようになりました。子どもの癇癪に対して、「あきらめない・油断しない・根気強く続ける」ことで大きな変化へと繋がったのです。

▶詳しくこの事例の内容をお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
【とても激しい癇癪を起こすようになったユナちゃん(仮名)】(小2)癇癪エピソード – YouTube

子どもの癇癪には家族も共に取り組もう

子どもの癇癪には家族も共に取り組もう:カウンセリング(子どもの癇癪)

子どもの癇癪で、お母さんやお父さんが疲弊してしまい、家族の仲がギクシャクしてしまうケースは意外と多いものです。子どもの癇癪は、放置しておくとお母さんやお父さんにとっても良くありません。そのため、子どもの癇癪について違和感や相談したいと思った際は、できるだけ早く専門機関などに相談するようにしましょう。

【記事紹介】

子どもの癇癪(かんしゃく)
激しい癇癪(かんしゃく)をカウンセリングで解決する家族療法
かんしゃく治療と子どものしつけ:激しい癇癪を解決するために必要なこととは?

2024.12.19  著者:《大阪府豊中市 淀屋橋心理療法センター》上江洲りべか

               

記事内容の監修医師

淀屋橋心理療法センターの所長 福田 俊一

淀屋橋心理療法センター所長 福田 俊一

  • 医師。精神科医。淀屋橋心理療法センターの所長であり創業者。
  • 日本の実践的家族療法の草分け的存在。
  • 初めて家族療法専門機関を日本で設立し、実践、技法の開発、家族療法家の育成に貢献した。
  • その後は、摂食障害、不登校、ひきこもり、うつ、家庭内暴力(子から親へ)、リストカット等の家族療法の開発に尽力している。
  • 著書多数。

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