ひきこもりを乗り越えるための親御さん向け治療説明会が2024年12月17日、淀屋橋心理療法センターで開催されました。
臨床心理士・福田俊介と精神科医師・福田俊一による、ひきこもっているお子さんが持っている力の現状や、ひきこもっているお子さんの未来を考え成長させるためには?など、説明会でお話しした内容の一部をご紹介いたします。
目次
ひきこもっている子どもが持つ力
淀屋橋心理療法センターの治療説明会は、カウンセラー臨床心理士・福田俊介の事例発表から始まります。
臨床心理士・福田俊介は来所された親御さんに問います。
「お子さんには人に相談する力はありますか?柔軟に考える力はありますか?」と。
実は、この二つのポイントは問題解決するために重要なポイントで、ゆき詰まっている人には、その力が足らないのですという話から始まりました。
ひきこもりになった子どもを支援してくれるところは?
お子さんがひきこもりになってしまった場合、相談機関はいくつかあります。
そこで、説明会に参加された親御さんはどのようなところに相談にいかれたかをお聞きしました。
お子さんがひきこもりになったことでどのような機関に相談にいかれましたか?
説明会に参加された親御さんは、お子さんのひきこもりをなんとか解決しようと支援を受けるためにいろいろなところに相談にいかれていました。
- 包括支援センターの電話相談
- スクールカウンセラー
- ひきこもりセンター
- 心療内科
- 精神科
ひきこもりの相談機関ではどのようにアドバイスされ、どのように思われましたか?
「お母さん、ため込まないように話してくださいね」
「家庭の問題なので、家庭で解決していったほうがいいと思います。」
「高校はいっても行かなくてもいいですよ。」などと言われた。
親御さんは何とか子供さんのひきこもりを解決しようと、いろんな機関に相談にいかれているようです。
その中で、多くの親御さんがおっしゃるのは、お母さんの気持ちに寄り添ってくださったり、励ましてくださったりするところはあるにもかかわらず、子供に対する対応のアドバイスを聞くことができなかったと言う感想でした。
確かに、親御さんの精神状態が良くなければ、ひきこもっているお子さんに対する対応は難しいと思いますし、そのためには、お母さんが愚痴や不安を吐き出すところは大切なのかもしれません。
ですが、それではどのようにすれば我が子をひきこもりから抜け出せるのか?ということに対しては、物足りなさを感じられているようでした。
ひきこもっているお子さんに対する対応のアドバイス
淀屋橋心理療法センターの大きな特徴は、お子さんに対する対応の具体的なアドバイスをお伝えできるということです。
精神科医師・福田俊一は言います。
「今、ひきこもっているお子さんは、後ろ向きに受け身になっていて、コーナーに追い詰められたような状況に陥っているのです。」
そのような状態では、「お子さんには人に相談する力」や、「柔軟に考える力」は育っていないと思っていいと思います。
「ひきこもっているお子さんが急に動き出すようなウルトラCな言葉はありません。
ですが、工夫し地道に繰り返すことで、お子さんは変わっていきます。
わずかなチャンスを親御さんが的確に拾っていくことで、お子さんが大きく変わり始めるのです。
軌道に乗れば大きな変化に驚かれるでしょう。」と。
すでに、幾つもの相談期間に相談に行かれ、労力を割かれている親御さんからすれば、(これからまた地道な努力をしないといけないの?)と、少しがっくりする気持ちがおありかもしれません。
ですが、どこに相談してもお子さんに対する対応のアドバイスがなく物足りなさを感じているのであれば、当センターでカウンセリングを受けられることは、お子さんを成長させる為の前向きな労力と考えて、やってみる価値はあるのではないかと思います。
ひきこもっている子どもの未来は?
お子さんが多少元気になれば、外に出かけたり、家のことを手伝うようになったり、親御さんと話すようになるかもしれません。
それはとても良いことだと思います。
ですが、お子さんが成長するということに意識してみてください。
お子さんが成長すると言う事は、冒頭でお話しさせていただいた人に相談する力はあるか?柔軟に考える力はあるか?と言うことです。
お子さんが元気になって外にでかけるようになった時、お子さんが成長しきれていない場合、
今後の人間関係で、友達や頼れる人に相談して解決する必要がある場面や、
結婚して、ご夫婦で相談しあって子育てをしていくようになっていく必要が出てくる場面になった時、
相手の意見を聞くばかりで受け身。
人を優先して、自分を出さない。
自分のできることしか対応できない。
つい逃げ腰になってしまう。
誰にも相談できずに、閉じこもってしまう。
そういった対応しかできないかもしれません。
また、お子さんが以前のようにコーナーに追い詰められ、立ち止まってしまう可能性もあるかもしれません。
ひきこもりを乗り越えるための親御さん向けのカウンセリング
当センターのカウンセリングは、今後このようにお子さんに困難が起きた時にも、自分なりに考え、どういう風にすれば自分がうまく生きられるのか、自分の大切な人がうまく生きていけるのかを人に相談し、考える力をお子さんにつけていっていただくのです。
一言で、子どもがひきこもりから立ち直るような“ウルトラC”な言葉はありませんが、
当センターには親御さんがお子さんにコツコツと対応を繰り返していただくことで、お子さんがひきこもりから抜け出すだけでなく、
イキイキと生きていくことができるノウハウがあるんだという希望を、治療説明会で受け取って帰っていただけたらと思いました。
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